何ゴト?

日々の何事かを書いていきます。

昔話法廷「カチカチ山」開廷

昔話法廷「カチカチ山」を見ました。

↓動画が公開されています。


裁判官: それでは、開廷します。

裁判員A: (これからある裁判が始まろうとしている。私たち裁判員は、これから法廷で見たり聞いたりすることを基に、このちょっと不思議な裁判の判決を考えなければならない。
裁かれる被告人は、ウサギ。タヌキを殺そうとした罪に問われている。)

裁判官: 検察官、今回の「カチカチ山」裁判で、ウサギはどんな罪を犯したというのか述べてください。

検察官: はい。起訴状を読み上げます。

被告人のウサギは、親代わりのおばあさんを殺したタヌキへの敵討ちを決意。 逃亡中のタヌキに言葉巧みに近づきました。 まずウサギはタヌキが背負った薪に火をつけ背中に大やけどを負わせました。 そしてその傷口にとうがらしみそを塗りつけ更なる苦痛を与えました。 更にウサギはタヌキを泥で作った船に乗せ、池に沈めようとしました。 タヌキは通りかかった村人に救われたものの、一時意識不明の重体に陥りました。 ウサギが犯した罪は、刑法第199条、第203条の殺人未遂罪にあたります。

裁判官: 被告人、今検察官が読み上げた事実に間違いはありませんか?

ウサギ (被告人): はい、間違いありません。

裁判官: 弁護人、いかがですか?

弁護人: ウサギの言ったとおりです。ただしこれは親のように慕っていたお婆さんをタヌキに殺された無念さゆえの犯行であり、十分に同情の余地があります。刑を軽くして執行猶予を求めます。

裁判員A: (タヌキを殺そうとした事はウサギも認めている。普通であれば、刑務所に入ることになる。しかし弁護人はウサギの執行猶予を求めた。)

執行猶予 刑務所には入れずに今の生活の中で反省させ更生する機会を与える

(タヌキを殺そうとしたウサギを執行猶予にしてもいいのだろうか?)

検察側、証人尋問

裁判員A: (まず検察官はウサギに殺されかけたタヌキを証人に呼んだ。タヌキはお婆さん殺しの罪で既に刑務所に入っている。)

検察官: あなたはウサギとどうやって知り合いましたか?

タヌキ (検察側証人): 警察から逃げている時、逃亡先の村で突然声をかけられたんだ。

検察官: あなたはウサギと2人で山へ行きましたね?なぜ行ったんですか?

タヌキ: お金が無くなって困ってたら、いいバイトがあるってウサギが教えてくれて一緒に山へ薪を拾いに行ったんだ。 そしたらいきなりさ・・・。

検察官: ウサギが火をつけたんですね?

タヌキ: そうだよ。ほんと熱くてさ、そこら中のたうち回ったよ。しかもその傷口にとうがらしみそを塗り付けてきてさ。あまりに痛くて俺気を失ったんだ。

検察官: 気を失うほどの痛さ・・・。ひどいですね。

タヌキ: ほんとだよ。俺が泳げないのをいい事に、泥船に乗せて池に沈めようとしたんだぜ。 俺は助けてくれって何度も頼んだんだ。 でもやつは、「おばあさんの敵だ!」と言って、オールで何度も何度も俺の頭をたたいて沈めようしたんだ。 なのにさ、村人が駆け寄ってきたら、「タヌキさんを助けてください」ってコロッと手のひらを返しやがった。

裁判員A: (ウサギ、ひどいな・・・。)

弁護側、反対尋問

裁判官: それでは弁護人、反対尋問をどうぞ。

弁護人: あなたは、亡くなったおばあさんたちに悪さを繰り返して困らせていましたね。

タヌキ: あぁ。

弁護人: どんな悪さをしましたか?

タヌキ: 畑を荒らしたり、お金を盗んだり・・・。

弁護人: やりたい放題ですね。ではなぜあなたはおばあさんを殺すことになったんですか?

タヌキ: あ・・・あの日は食べ物を盗もうとしてるところをおばあさんに見つかって、捕まりそうになったので棒で殴って逃げた。

弁護人: おばあさんを何回殴ったか覚えてますか?

検察官: 異議あり!タヌキの裁判ではありません!

弁護人: タヌキがおばあさんを殺した事がウサギの犯行の動機です。

裁判官: 異議を却下します。弁護人続けてください。

弁護人: 何度もあなたに殴りつけられておばあさんは亡くなったんですよ。 なのにあなたは、お殿様とか、お地蔵様とか行くさきざきでいろんなものに化けて警察から逃げ続けましたよね。 親のように慕っていたおばあさんを殺されたウサギがどんな気持ちだったかあなたは分かりますか?

タヌキ: いや、おばあさんを殺した事は悪かったと思うよ。 でもさ、あそこまでひどい事しなくてもいいじゃないかよ。

裁判員A: (でもな・・・そもそもタヌキがおばあさんを殺さなきゃ、ウサギはこんな事件を起こす事もなかったんだよな。)

弁護側、証人尋問

裁判員A: (続いて弁護人はおじいさんを証人に呼んだ。)

弁護人: ウサギとはどういう関係ですか?

おじいさん (弁護人側証人): 子供のいない私たちには、まるで我が子のような存在でした。 私たちにもよく懐いてくれて、畑仕事を手伝ってくれたり、肩をたたいてくれたり・・・。 「この子のためなら、何でもしてやろう」と、おばあさんはいつもそう言ってました。

弁護人: そうですか。ではウサギはなぜタヌキにあんなことをしたのでしょう?

おじいさん: この子もおばあさんのことが大好きでね。 そのおばあさんを殺したタヌキがなかなか捕まらないので、 歯がゆくて、許せなくて、自分でとっつかまえて、おばあさんの無念を晴らしてやろうと、そう思ったに違いありません。

弁護人: 刑務所に入れなくてもウサギは更生できますか?

おじいさん: できますとも! 命のある限り、私が責任を持ってウサギを監督します。 ですから、刑務所に入れるまでもありません。

裁判員A: (おじいさんと一緒ならウサギは大丈夫かな・・・)

検察側、反対質問

検察官: おじいさん

おじいさん: はい

検察官: あなたはどのようにウサギを監督するおつもりですか?

おじいさん: いつもそばについてるようにします。

検察官: 「いつもそばに」ねぇ。

おじいさん: はい

検察官: ところで犯行前、ウサギはどんな様子でしたか?

おじいさん: おばあさんが死んですっかり落ち込んでいるようでした。

検察官: タヌキの殺害を計画している事は知っていましたか?

おじいさん: いいえ、全く知りませんでした。

検察官: では、いつ知ったんですか?

おじいさん: ウサギが逮捕されたと警察から聞いて。そりゃもうびっくりました!

検察官: あなたね・・・「知らなかった」とか「びっくりした」とか 一体ウサギの何を見ていたんですか? そんなことじゃ、今後またあなたの知らないところでまたウサギが罪を犯すかもしれないですよね。

おじいさん: い・・・いいえ、しっかり見ますから。頑張りますよ!

検察官: 意気込みだけはご立派ですね。以上です。

弁護側、被告人質問

(いよいよ、被告人のウサギへの質問だ。まずは弁護人から)

弁護人: あなたとおばあさんはどんな関係でしたか?

ウサギ: おばあさんは僕の命の恩人なんです。わなに掛かって動けなくなっていた僕を懸命に看病してくれました。

弁護人: おばあさんはどんな人でしたか?

ウサギ: 優しい人でした。いつもいつも僕の事を気にかけてくれたんです。 ずっと一緒にいたいそう思っていたのに・・・。 悔しくてたまりません。

それでは次におばあさんが殺された日の事を教えてもらえますか?

ウサギ: はい。家に入ったらおばあさんは血を流して倒れていました。 おばあさんを抱きかかえて「おばあさん、おばあさん!」と何度も呼びました。 でも目を開けてはくれませんでした。 もう胸が張り裂けそうでした! 敵を討つ事にためらいはありませんでした。

弁護人: しかし、敵討ちは失敗に終わりました・・・。あなたは悔しかったのではありませんか?

ウサギ: いいえ。むしろホッとしました。

弁護人: ホッとした?それはどうしてですか?

ウサギ: タヌキを殺さずに済んだからです。

弁護人: あなたの目的はおばあさんの敵を討つことだったんですよね?

ウサギ: でも、こんなことをしてもおばあさんは喜んでくれないと気づいたんです。

弁護人: そうですか・・・。あなたは自分のした事についてどう思ってますか?

ウサギ: 法に背いた事をしてしまい反省しています。どんな刑罰も受けます。

検察側、反対質問

検察官: 改めてお聞きします。 タヌキの背中に火を放ったのはあなたですね。

ウサギ: はい。

検察官: タヌキのやけどにとうがらしみそを塗って気を失うほどの苦痛を与えたのはあなたですね。

ウサギ: はい。

検察官: タヌキを泥船に乗せ池の底に沈めようとしたのはあなたですね。

ウサギ: はい。

検察官: おばあさんの敵を討ちたい一心でそこまでタヌキを追い詰めた。 それは相当な執念だ。 なのに、殺さずに済んでホッとしたはないでしょう。 やっぱり悔しかったんじゃないですか?

ウサギ: いいえ。

検察官: もう気は済んだんですね。

ウサギ: はい。

検察官: では、今度どこかでばったりタヌキに出会ったらどうしますか?

ウサギ: ・・・。

検察官: 以上です。

裁判員A: (ウサギはどうして答えられないんだろう?またタヌキを襲ってしまうかもしれないってこと?)

最終弁論

検察官: 裁判員の皆さん。殺意をもってタヌキを何度も痛めつけたウサギの犯行に同情の余地はありません。 しかもいまだタヌキへの殺意は消えておらず、反省しているとは言えません。 同じような罪を繰り返さないためにも、ウサギは刑務所に入って自分の犯した罪をしっかり償うべきです。

弁護人: 裁判員の皆さん。ウサギを犯行に駆り立てたのは親のように慕っていたおばあさんをタヌキに殺された怒りと無念です。 ウサギは十分に反省しており、再び罪を犯すことはありません。 おじいさんのもとでおばあさんの事を思いながら罪と向き合うことがウサギを更生させる唯一の道です。 執行猶予を求めます。

裁判官: これで全ての審理が終わりました。 これから裁判員のみなさんと判決を話し合います。

裁判員A: (ウサギを刑務所に入れるか、それとも執行猶予にするか・・・どっちかいいんだろう?)


傍聴した感想

またまた、有罪・無罪の判決の結果は出ませんでしたね。

自分が思うに、ウサギがタヌキの命を奪っていないという点を考えると執行猶予がついてもいいんじゃないかなと思います。 ただ、敵討ちはダメですよね。もし、ウサギがタヌキの命を奪っていたら、今度はタヌキを慕っているものがウサギの命を・・・ということになって負の連鎖が続きますからね。 でも、だとしたら、最初におばあさんを殺したタヌキの動機はとても軽いものですね。 最初の犯行というものは単純な過ちということで片付けてしまっていいのでしょうか?


かちかち山 (日本昔ばなし アニメ絵本 (1))

かちかち山 (日本昔ばなし アニメ絵本 (1))