軽くて丈夫な木の自転車があるそうです。
こちらは、新木場にある「SANO MAGIC」というお店。
これが、「木製(マホガニー)」でできた自転車。
マホガニーとは、高級家具や楽器などに使用される木材です。
なんと、その自転車は、軽くて指1本でも持ち上げられます。
それもそのはず、ブレーキや、
チェーン、
タイヤなどのパーツ以外は、すべて木で作られています。
重さは7.7キロ!一般的な自転車よりもおよそ10キロも軽いです!
サドルを見たところ、木だけでできているので、おしりが痛そうな感じですが、それが全く痛くない!
全体的に、フレーム自体がサスペンションの役目をしていて、バネになっていてフレームで衝撃を吸収しているという。
この柔軟性には秘密がありました。自転車に使う木はそのまま使っているわけではありません。
例えば、フレーム部分は、
厚さ2mmにしたマホガニーの板を、18枚、
一番負荷のかかるサドルの下の部分は、
1mmの板を30枚以上重ねています。
すべての部品の始まりは、マホガニーの1mm板なんです。
これを何枚も貼って厚みを決めます。
薄いから曲がるのかというと、そうでもない。
1mmの板をそのまま曲げようとすると、あっという間に折れてしまいました。
どうやって曲げるかというと、まず1mm板を特殊な接着剤で両面接着していきます。
水や養分を通す導管という木の細かい穴に、接着剤が染み込むと強度が上がります。
それを一枚一枚貼り合わせていきます。
「合わせては、接着剤をつける」この繰り返し。
すべて重ね終わると、
型にセットして、工具で力いっぱい縮めていきます。
見事に、90度曲がりました。これは、サドルの下の部分です。
前輪をつなぐ、フロントフォークは180度曲がっています。
普通の大人が上から乗っても折れません! この弾力はカーボンや金属でもなかなか出せないそうです。
この木製自転車は、レースでも活躍しています。
フレームに負荷がかかると、反動の力でスピードが出るそうです。
価格は200万円で、予約はなんと5年待ち!1台作るのに3か月かかるというのにはワケがありました。
実は、このお店の主人の本業は船大工だったのです。こちらは「マホガニー製のモーターボート」。
船を作る上で最も強度が必要な骨格部分の曲線を作る技術を自転車に応用しているそうです。