なぜ子どもはシールが好きなのか?という話がありました。
子育てについて研究する教育学者の小泉裕子さんが説明していました。
そもそも、子どもがシールに興味を持つのは、1歳を過ぎたころ。
ちょうど「感覚運動期」と呼ばれる、手などの感覚から状況を理解しようとする時期。
例えば、ティッシュを何枚も出して、ものを取り出す感触を知る。
シールを触り始めるのもこのころ。
ベタベタするのりを感覚的におもしろがり、興味を持つ。
そして、シールの見た目に興味を持ち始めるのは、3歳ごろ。
子どもは3歳ごろになると、自我が芽生え始める。
自分が好きなものを見つけ始めて、表現することに夢中になる。
2歳を過ぎシールを認識した子どもは、3歳ごろから自分を表現するためにシールを貼る。
いろいろな柄や形があるシールは好みを表現しやすいアイテムだが、好きな理由はそれだけではない。
子どもの指先はまだ不器用、挑戦してもうまくいかないことが多い。
例えば、クレヨンを手にして絵を描いたり、積み木を組み立てようとしてもうまく行かないことが多い。
でも、シールは、はがしたり貼ったりすることが簡単にできる。
それだけで、結果が出せ、達成感が得やすいので、ついつい夢中になってしまう。
なぜ、子どもはタンスや壁など、同じ場所にシールを貼るのか?
子どもにとっては、貼るという行為自体が成功するかわからない不安なもの。
1か所貼って成功したら見通しがつく。
繰り返し同じような所に貼り付ける。
成功体験が養われるシールは、子どもの成長に重要な役割を担っている。
親御さんによっては、子どもがいろんな所にシールを貼ると怒ったりすることがあるが、これは逆効果。
貼ったりすることが子どもの自尊感情にもつながっているので、「上手に貼れたね」と行為を褒めてあげるとよい。
シールが親しまれるようになったきっかけは、1963年。
製菓メーカーが、チョコの蓋2個と引き換えにプレゼントした「鉄腕アトム」のシール。
このシールが大ヒットとなり、各メーカーがお菓子のおまけに人気のキャラクターシールを採用した。