中国やイタリアでは、新型コロナウイルスの抗体検査が行われている。
中国の武漢で行われたある抗体検査では、
針のようなもので指先をチクリと刺し、わずかな血液を抗体検査キットに付着させ、これだけで検査終了。
約15分後には、結果がわかるというものだった。
この簡単な抗体検査。
現在、日本では研究用のみに使われている。
これはなぜか?
4月1日の日本医師会の記者会見によると、
抗体検査キットは体外診断用の医薬品という形で、まだ承認をうけていないわけですけれども、確認できた抗体がどういうふうに続くのか、持続がどうなのかということについては、今後の研究を待たなければならない。
とのこと。
この抗体検査について、感染症の専門家である 三鴨廣繁 先生 が話をしていました。
抗体検査とは、人の血液に含まれるウイルスへの免疫反応で作られる物質、抗体があるかないか調べる検査のことで、1滴の血液から15分ほどで判定します。
実は、抗体には2種類ある。
1つが「IgM抗体」で、もう1つが「IgG抗体」。
「IgM抗体」は、感染の初期に出現し、そのあと消えてしまう抗体。
一方の「IgG抗体」は、「IgM抗体」より遅れて出現し、そのあと長く持続する抗体。
つまり、「IgM抗体」の有無で感染の初期段階であるかどうかが判定できる。
一方、「IgG抗体」の有無で、既に新型コロナに感染したことがあるかどうかが判定できる。
この「IgG抗体」は、感染症、ウイルスによって持続期間が異なる。
例えば、インフルエンザウイルスの場合、早くなくなる。
だから毎年、ワクチンを打たなければならない。
ところが、はしかなどは、1回かかれば一生かからないのが原則でずっと続く。
新型コロナウイルスがどのくらい「IgG」が続くかは、今は研究段階。
そして、「IgM抗体」は感染初期のものだが、約4日くらい経たないと出てこない。
そして、約7日から10日でなくなってしまう。
だから、見つける期間は少ない。
初めに症状が出ても、このキットを使うと「陰性」と出る。
しばらくすると「陽性」と出る。
ただ、これで「IgM抗体」が陽性となれば、特異度が高く、ほとんどが新型コロナウイルスに感染しているといえる。
血液1滴で簡単に検査できるので、開業医の先生のところや、クリニックなどで早く導入してもらいたい。