「なぜ数学を勉強するのか?」という疑問に対して、
西成活裕 先生(東京大学 先端科学技術研究センター 教授) が説明していました。
数学を勉強する前に、小学校で習うのは「算数」。
なぜ、「算数」から「数学」に名前が変わるのか?
それは、「学ぶ目的が変わるから」。
数学を学ぶ本来の目的は、論理的な思考を身につけるため。
小学校で習う算数は、主に日常生活でもよく使う、足し算や引き算などの計算力を養うもの。
一方の数学は、問題を整理して答えを導くことで、論理的な思考が身につくもの。
論理的思考とは、道筋を立てて考えること。
実は、数学で身につけた論理的思考を、私たちは何気ない日頃の暮らしで使っている。
方程式
【問題】 たかし君がお母さんからお小遣い1000円をもらい、500円で漫画を買った。まだお金が余るのでお菓子を買うことにした。1個50円とすると何個買えるか?
この答えは、10個。
これを論理的に整理して、数式にしたのが、中学1年生で習った1次方程式。
1000 = 500 + 50x
x = 10
方程式は、「今分かっていることは何か」「分かっていないことは何か」をはっきりさせて整理する力がつく。
因数分解
カレーを作るときに、もし、何も考えずに料理すると、
たまねぎを切る → 炒める → 野菜を切る → 炒める → 肉を切る → 炒める ・・・
と、切って炒めてを繰り返して面倒くさい。
だから、最初に、たまねぎ・野菜・肉をまとめて切ってしまう。
実はこれ「因数分解」。
因数分解は、足し算や引き算の式の中で同じものを集めて、掛け算の形にスッキリかえること。
因数分解を学ぶことで、同じような作業をまとめる力がつき、効率よく仕事をすることができる。
サイン、コサイン、タンジェント
サイン、コサイン、タンジェントは、直角三角形の辺の比率を表したもの。
この場合、a と c の比率を「サイン」、b と cの比率を「コサイン」、a と bの比率を「タンジェント」と名前を付けたもの。
例えば、三角定規を使って、身長を求める式はこちら。
これなら、普通に身長を測った方が早いが、
これが富士山の高さを定規や巻き尺で直接測るとなると、無理。
そこで、地面の距離は測れるので、その距離から高さを出す。
富士山の高さを求めるには、まず、山頂と直角三角形の定規の先が重なる場所を探す。
その場所と、富士山との直線距離を地図上で測る。
測った距離に、直角三角形の比率を当てはめて計算すると、富士山の高さを求めることができる。
もし、数学をサボり論理的な思考が育たないと、聞いている方がわからないグチャグチャな話をする大人になってしまう。