【バニラショック】輸入するバニラビーンズが足りない!国産バニラを栽培するのは大変だという話:石田ジャーナル【2017/07/14】

バニラが足りないそうです。


バニラビーンズ

アイスクリームを食べる時によく見かける「小さい黒いつぶ」、これは「バニラビーンズ」です。

これは、バニラの実を丸ごと発酵させたものをいい、黒いつぶつぶはこのバニラの種子なのです。

アイス以外にも、プリン、カスタードクリーム、ケーキなどにも入っていることがあります。

この発酵したバニラの香りを・・・、

オイルに抽出して、バニラオイルにしたり、

アルコールに抽出して、バニラエッセンスにしたりします。

バニラショック

しかし、そのバニラが今、不足しているというのです。

このバニラ不足の原因は、輸入の9割を担っている原産国のマダガスカルにもありました。

・今年3月にサイクロンが直撃して、生産量が不安定。
・消費量が世界中で増え、新興国(特に中国)の消費が増加。需要と供給のバランスが完全に崩れている。

↓こちらは、バニラの輸入量のグラフ。

今年(2017年)の1月〜5月の分はサイクロンの影響を受けていない時期のもの、なので今年は、これ以降は入ってこない可能性もある。

バニラ製品の輸入・販売を行う1970年創業の「ミコヤ香商」さんによると、

ここ3,4年で10倍になった印象。今は1kg:13万円。博打みたいな商売品です・・・。

とのこと。

今まではお金を払えば手に入れられたというバニラも、もう商品そのものがないという事態。

日本初の国産バニラ

福岡県久留米市の「金子植物苑」さんでは、国産バニラを作りを行っています。

↓こちらがバニラの苗。

バニラはつる性のラン科の植物。

元々、ランの栽培を行っていた金子さんはバニラがランの仲間であることを知って興味を持ち日本でも作ることができないかと研究を始めたのが9年前。

花を咲かせて、果実をつけて、さらにそれを加工しないとバニラビーンズにならない。日本にはその加工技術がなかったといいます。

良質なバニラビーンズを作るのに欠かせないのが、日本の気候に合わせた発酵技術でした。

3年間の研究の末、独自で発酵技術の開発に成功。しかも海外だと1年はかかる発酵を5か月で行うことを可能にしました。

海外のバニラは輸出用に香りを強くしているのに対して、国産バニラは発酵の度合いを調整することで好みの香りにコントロールできバリエーションを持たせられるといいます。

この発酵技術が認められ、3年前(2014年)に特許を取りました。

金子さんは国産バニラを久留米市の特産品にできないかと考え、市や商工会議所の支援を受けることになりました。

その後押しもあってバニラ事業を始めることができました。

難しいバニラ栽培

実はバニラ栽培が難しいと言われる理由は、交配作業です。

バニラの花が開花するのは年にたった1度、1日だけ

しかも、午前中に花が開くと昼には閉じてしまいます。

受粉チャンスは年に1度の2、3時間しかないそうです。

さらに難しいのが受粉作業。バニラは花の中の構造が非常に複雑です。そのため、正確に受粉させるにはコツがいります。( ← マダガスカルだと虫が受粉してくれるが、その虫が日本にはいないらしい)

まだ国産バニラの生産量は少ないため、現在は地元久留米市のカフェやホテルだけで使われています。