【大阪市】日本初?!高層マンションの中に児童相談所を新設するかもしれないという話

大阪市が新たに児童相談所を作ろうとしているのは、北区にあるこの39階建ての高層マンション。

厚生労働省によると、マンション併設の児童相談所は、全国でも他に例がないといいます。

住民は困惑

13年前に、約5000万円で購入した女性(60歳)は、突然児童相談所の併設の話を聞かされたといいます。

住民の女性「実際はびっくりしています、何も知らされていなかったし、分譲マンションなので、そういう施設が中に食い込んでくることに疑問を持ちました」

児童相談所とはどんなところか?

中央区にある児童相談所を訪ねてみると、そこは5階建ての鉄筋コンクリート作りの大きな建物でした。

ここでは、子育ての悩み相談を受け付けている他、18歳未満の虐待を受けた子どもや万引きなどの非行にはしった子どもを保護しています。

保護期間は原則最大で2か月で、今は1日平均約30人がいるといいます。

所長「ここは特徴ある部屋の一つです、子どもと児童心理司が遊んでプレイセラピーをするとか」

また部屋にはマジックミラーがあり、児童心理司など専門の職員が子どもたちの様子を観察して、必要な支援策を検討しています。

大阪市での児童虐待の件数は、年々増加。2014年度には4554件と、全国の政令市で最も多くなりました。

しかし、市内の児童相談所は、現在は1か所しかなく、市内では新たに2か所設置することを検討しています。

マンションに併設されていた、いきいきエイジングセンター

新たに設置する、その一つの候補地がこの高層マンションでした。

なぜこのマンションが選ばれたのでしょうか?

かつてこの場所には私立中学校がありましたが、再開発計画で移転。

市は跡地にできたマンションの2つの棟のうち、東館の1階から3階までと、西館の3階部分を区分所有することになったのです。

市は2年前まで、その場所で、高齢者向けの施設、「いきいきエイジングセンター」を運営していました。

1階から3階までのおよそ4000平方メートル。

プールや体育館や調理室などがあり、高齢者にスポーツや料理を楽しんでもらおうという施設です。




年間、延べ8万人が利用していたといいます。

しかし、大阪市の事業仕分けで、民間でもできる施策だとして、2014年3月に廃止。

施設を売却しようとしましたが、買い手は現れませんでした。

大阪市福祉局の人「施設的に特異なプールがあったり、体育館があったり、調理実習室があったりと、活用するにあたって非常にやりにくいというのがひとつの原因ではないかなと」

そこで新たな活用方法として、児童相談所の計画が持ち上がったのです。

購入の動機はエイジングセンター

ある住民の女性は、エイジングセンターがマンション購入の一つの動機になったといいます。

住民の女性「こういう施設があって年をとったら、楽しくコミュニティとしてつかえますよということが大々的に載ってるし、先々楽しく行けるかなと思ってこのマンションに引っ越してきた。いくら公益施設でも、いきいきエイジングセンターとかけ離れたものなのでびっくりしますよね。」

住民説明会

市は、今年2月から住民説明会を開始しました。

住民「この住宅の中にある意味というのが・・・」
役所の人「住宅といいますか、地域の中では、どこの児童相談所も地域の中ではありますが・・・」
住民「同じ建物の中なんですよね、ここは」
住民「別棟で1棟、児童相談所が建っているわけではなく」
役所の人「入り口が別であるというのが」
住民「別であっても全くここに入れないわけじゃないんですよ」
住民「市営住宅に住んでいるんだったら、何も文句は言わないですけど、私たちはここに自分の財産としてここを買っているんです、買ってるのにいきなりそうやって」

他にも、虐待で保護された子どもを親が取り返しに来るトラブルを懸念する声が出るなど、説明会では反対が相次ぎました。

他に候補地はなかったのか?

役所の人「本市の財政負担軽減の取り組みもあり、そういう面では本市の既存施設、空き施設から選定をしている。
児童相談所に対する誤解をされている部分もあるので、説明会や児童相談所の見学会を開催してできる限り丁寧に説明して理解を求めたい」

児童相談所の見学会

市は児童相談所について住民に理解してもらおうと、中央区の施設の見学会を行いました。
しかし、参加者は3日間でわずわ4人にとどまりました。

参加した住民「どこかには作らないといけないので、場所として(マンションが)適しているのであれば仕方ないのかなと思います」

2016/12/17 追記

住民アンケート(全360戸) では、

賛成  17票
反対 235票

でした。

大阪市長は、住民アンケートの結果を尊重して年内に判断する方針だということです。

2016/12/23 追記

あまりの反対意見の多さに、大阪市は計画断念を表明しました。

2017/03/04 追記

東淀川区の小学校跡地に建設決定。2020年度開設へ。