本能性振戦とは?
これは「手が震える病気」。
直接、命にかかわるものではなく、メジャーではないのもの、実はかなりの数の患者数がいるといわれています。
原因はわからない?
「本能性」とは原因がわからないという意味。
症状として震えを伴う病気は、いくつかあります。
「アルコール依存症」などもそうですが、これは原因がわかっているので、「本能性」ではありません。
患者の数
患者の割合は40歳以上で、25人に1人で、
高齢者に多い一方、若年発症もあり、特に60代と20代に多い。
ただ、多くは緊張したときに震える程度なので、日常もあまり支障が出ません。
でも、重症化すると、起きている間ずーっと手が震えている状態になるようです。
「字が書けない」「コップの水が飲めない」など、日常の不便から人前に出るのをためらってしまう原因にもなります。
対処療法しかなかった
とにかく原因がわからないので、これまで治療が難しかった「本能性振戦」。
これまでは投薬治療による「対処療法」が中心でしたが、重症化すると効かないのがほとんど。
脳に電極を埋め込む治療などもありましたが、高齢者には負担、治らないものとされていました。
新しい治療法
イスラエルの企業が「インサイテック」が開発した装置「ExAblate Neuro (エクサブレート ニューロ)」。これが新しい治療を可能にしました。
超音波を用いて、頭を開かずに、脳の中で治療ができる。
MRIに装置を置いている状態。
MRIとは?
磁気を使って、身体を輪切りにしたような画像が見られる医療機器。
この装置は、ヘルメットの内側から超音波を900本以上照射。
それを一点に集中させることで、震えを起こす神経を焼く。
一回で治療が終えられるメリットがある。
治療のイメージ
みなさんは虫メガネを使って、紙を燃やしたことはありませんか?
虫メガネで紙を燃やとき、光が一点に集中する所に黒い店を持っていかないと焼けない。
新しい治療法は、これと同じ原理を使っています。
保険適用は?
アメリカでは、今年(2016年)7月にFDAで認可されました。
FDAとは?
アメリカ食品医薬品局(アメリカしょくひんいやくひんきょく、Food and Drug Administration; FDA)は、アメリカ合衆国保健福祉省(Department of Health and Human Services, HHS)配下の政府機関。
日本ではまだ保険適用されていませんが、保険適用に向けて症例を重ねています。
一番困ること
この病気で一番困るのは字を書く時。
手が震えて直線がうまく書くことができません。
実際に治療しているところ
効果を測定するため、治療前の震えの程度を確かめます。
正確に照射をするため、頭にフレームを装着します。
フレームは頭部の4ヵ所にピンを刺して固定します。
髪の毛が生えていると超音波の進路がゆがむ恐れがあるので、髪を剃る必要があります。
治療開始、900本の超音波が患部の一点に照射。
まずは、温度上昇を40度程度におさえ、狙った場所を正確に照射できているかを確かめます。
今回照射するのは、感覚機能などを司る、視床にある「Vim核」の5mmほどを狙います。
ここには、「振戦に関わる神経」が集中しているといわれている。
治療前と後では、あきらかに震えが止まっていた。
治療を受けた人のコメント
普通なら薬を飲んだり、手術をしたりしないといけないが、それが、ある瞬間に治る。
1か月くらい経つと震えていたことさえ忘れる。