依頼内容
31年前に結婚したと同時に、鳩時計を購入しました。
今まで2回の引越しにも耐えていたのですが、この5,6年で一気に鳩が弱ってキレイな声で鳴けなくなったのです。
姫路では有名な時計店に修理に出すと、鳩の「ポッポー」という音を出している和紙の部分が破れていて、それを作っている職人がもういないので直せないと言われました。
今はもう鳩が飛び出すだけで、鳴きません。
どうか探偵さん、鳩時計にもう一度、美しい鳴き声を吹き込んでもらえないでしょうか。
澤部「鳩時計が和紙で作られているというのをご存知でした?」
調査開始
↓こちらがその鳩時計
時間がぴったりになって鳩が出てくるも全く鳴かない。
ちょっとだけ覗いて一言も発せず、見つけられた瞬間に、姿を隠してしまった。
まずは、鳩時計の中を覗いてみる。
和紙でできた部分が破れている。
さらに奥にも、もう一つ同じものがあり、両方とも破れている。
おそらく、手を上下に叩くような感じで、アコーディオン的な感じで音が鳴っていると思われる。
いったん和紙を全部はがします。
上の穴から空気が入り、横の穴から出ていくことで、音が鳴っていると思われる。
つまり笛のような仕組みになっているということ。
試しに口から空気を送って見ると「フゥー」と音が鳴った。
この笛が2個あるので、それが順番に鳴って「ホッホー」と鳴っている。
復元するために、3種類の和紙が用意された。
雁皮紙(がんび)・・・主に日本画や写経に用いられる和紙。繊維は細かく短く滑らか。
三椏紙(みつまた)・・・主に紙幣で用いられる和紙。繊維は細く短く丈夫。
楮紙(こうぞ)・・・主に版画用紙や障子紙に用いられる和紙。繊維は太く長く強靭。
この中から、手触りの感じで、「楮紙」を使うことに。
上下の長さが違っていたので、ぴったり揃える。
キレイに型を取って、
貼り付けていく。
1日がかりの作業でやっと完成!
はたして、鳩は無事に鳴くのでしょうか?
再びスタジオ
あれ(空気を送る装置)は、「鞴(ふいご)」って言うんですね。
女流ふいご職人が登場しましたんで、姫路に。