運動の仕方によっては、逆に体に負担がかかってしまうこともあるようです。特に高齢者は注意が必要です。
- 作者: 戸田佳孝
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2016/02/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自己流の運動が全て悪いとは言いませんが、正しい知識がなければかえって体を痛めてしまう場合があります。
階段の昇り降り
運動量の割に効果がない「無駄な運動の代表格」は、「階段の昇り降り」。
平均的な体格の男性の場合、消費するカロリーは上りで25kcal、下りでは10kcal しか消費しない。
しかし、膝に対するリスクは非常に高い。特に下りの場合、ひざに体重の6〜7倍もの負荷がかかる。
その結果、クッションの役割を果たす「半月板」や「軟骨」がすり減り「靭帯」が伸びる。
半月板や靭帯は再生しないため、続けていると最悪の場合、歩けなくなってしまう。
つまり、階段の昇り降りは、「体重を減らす」というメリットより、かけがえのない「ひざを消費する」というデメリットの方が大きい。
ポイント!
痩せたければ、平坦な道を歩く方が膝への負担はマシなのです。
スクワット
若い女性の間で流行中のスクワット。家で手軽にでき美脚になれるということで、女性誌やネットで大きな話題となっている。
実はこれも誤りがちな運動です。
若い女性にありがちなのが、前の方に体重のかかったこんな体勢。
こうなると、膝の関節が外れた状態になるので、前後方向の揺れを防ぐ「十字靭帯」を痛める。最悪の場合靭帯が切れて歩けなくなってしまう。
ポイント!
本来スクワットは膝が足先よりも前に出さないようにするのがポイント。
壁に背中を当てて体重を壁に預けるようにして行うとやりやすい。
マラソン、ジョギング、ウォーキング
朝ジョギングをしている人や、1日一万歩を目指して歩いている人もいる。
しかし実は、マラソン、ジョギング、ウォーキングをしても健康にはなれないという。
免疫研究の第一人者によると、フルマラソン後、2週間以内に5〜7割の選手に風邪の症状が出ることが判明。
激しい運動をすると、傷ついた筋肉を修復しようと免疫細胞が働く、その時炎症が起こり腫れや痛みが出る。
マラソンやジョギングを続けていると、体はなるべく炎症を起こさないよう、免疫反応を抑えるようになるため、病気にかかりやすくなってしまう。
ウォーキングなら大丈夫と思うかもしれないが、毎日1万歩を歩いていれば健康になれると思うのは大間違い。
大切なのは歩き方。
ポイント!
中強度(限界と感じる運動の半分程度の酸素消費)で、20分だけ歩けばいい。ウォーキングの場合、なんとか会話ができる程度の速さが目安となる。
15年にわたるある調査によると、最も効果的だったのが、1日の歩数は8000歩程度で、中強度の運動を20分程度行っていた集団だった。
ラジオ体操
万能に見えるラジオ体操も実は注意が必要です。
中でも特に気をつけないといけないのが、「体を前後に曲げる運動」。
体を前かがみにする時、若い人の場合、腰椎と骨盤が連動して前に傾くように動く、
しかし、歳をとると、筋肉が固くなり骨盤が動きにくくなる。腰椎の動きだけで腰を動かそうとするので、腰痛の慢性化をまねいてしまう。
そして、もう一つ気をつけたいのが、「両脚で飛ぶ運動」。
ジャンプをすると半月板をつぶし靭帯を伸ばしてしまう。跳んだフリをしてカカトだけをあげていてもひざは大ダメージを受ける。
ラジオ体操を続けることで歩けなくなる高齢者もいる。
そもそもラジオ体操は高齢者向けには作られていない。
現在のラジオ体操が始まった65年前、日本人は今より体重は軽く平均寿命も20年短い。
つまり65歳以上の高齢者がやるのは想定外。体への負担が大き過ぎる。
ラジオ体操は、血行を改善したり、高血圧を直したりする作用はあるが、「腕を大きく回す運動を肘を曲げて回していたり、体を大きく後ろにひねる運動を盆踊りのように横だけに振っている場合」それほど効果はない。
自転車
近年高齢者を中心に、ロードレーサーなどのスポーツバイクで運動をする人をよく見かけるようになった。
ただ自転車は、歩道のちょっとした段差や落ち葉などでもハンドルを取られることがある。
そうした時に危険を回避するのは反射神経と瞬発的な筋力。
だが高齢者は加齢とともにどうしても反射神経が鈍くなりがち、転倒する際に手や足が出ず頭部を強打してしまい、頭蓋内出血で脳を圧迫して亡くなるケースが増えている。
実際、自転車に乗っていて亡くなった方の3分の2が65歳以上の高齢者。
ポイント!
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ゴルフ
運動中の突然死は、ゴルフが最も多いという報告もある。
ほとんどの人が準備運動をしないままプレイを始めて、斜面を駆け上がったりすることで、心臓に急激な負担がかかり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすのだという。
特に要注意なのが、「1番ホールのグリーン」。
グリーン上ではミスを防ごうと「呼吸」を止めようとする人が多い。周りから見られているという緊張感から血圧が上昇、心拍数も上がり、結果心臓に負担がかかり心筋梗塞を引越す。
また起床から、2、3時間後は心筋梗塞の「魔の時間」と言われている。時間的にもタイミング的にも1番ホールが危険です。
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