青森県浪岡市の浪岡ジュニアバドミントンクラブでは、見たこともない練習が行われていました。
なんと、1人の中学生選手が4人を相手に戦っています。しかも相手の4人はなんとインターハイ出場経験者もいる高校生たちです。
それを1人で相手しているのが、浪岡中学校3年の奈良岡 功大(15)選手。
なぜこんな練習をしているのか?
奈良岡「大人の選手は、高校生や学生の球より全然速いし、コースもいい所に行くからそのための練習」
最年少勝利
功大さんの名が日本中に知れ渡ったのが、2014年の全日本総合選手権。
赤のユニフォームが中学1年生の時の奈良岡選手。
社会人選手を相手に背面打ちも決めました!
そして、大会史上最年少勝利をあげたのです。
異例のランキング
海外でのシニア大会にも出場し、世界ランキングは157位。
中学生がランキングを持つことは世界的にも異例のことなのです。
武器は「クリア」
奈良岡選手の得意なショットは「クリア」。
クリアとは、コートの奥に打つショット。
相手コートの後ろ隅を狙う → 相手がさがって打ち返す → 返ってきたところを相手コートの前の方に落とす。
というもの。相手は奥へ動かされるので前へのショットに対応できません。
少しでも浅く入るとスマッシュを打たれるリスクもあるのですが、奈良岡選手は正確にショットを打ちます。
家での練習
家の壁に向かって、シャトルを打つ奈良岡選手。素早く跳ね返ってきたシャトルをまた打ち返し、これを繰り返します。
↓壁に穴を開けてしまったという壁打ちがこちら。
小学2年生の頃からほぼ毎日、試合本番をイメージしながら長い時には1時間もこの壁打ちを続けたといいます。
↓こちらは小学6年生の時の映像写真。的として貼っていた緑の折り紙、そこに穴が開いたんです。
そもそもシャトルの先端はコルク。そんなに固いものではありません。どれくらい当て続ければ壁に穴が開くのか?
実験で、自動でシャトルを打つ機械を使って、同じ距離から同じ材質の壁に当てると、
1万5316回打ってやっと壁に穴が開きました。1箇所を狙い続けてこの数字です。
奈良岡選手は、小学2年生の頃から、この何倍もの数を真面目にコツコツと当て続け壁に穴を開けました。正確無比なショットはこうやって磨かれたのです。
素振りの練習
奈良岡選手がバドミントンを始めたのは5歳の時。
クラブの監督を務める父 浩さんの影響でした。しかしインターハイで3位に入るほどの実績を持つ浩さんは当時こう思っていました。
浩さん「最初は空振りだらけなので『センスないな』っと思って、だからまず素振りでいいかなって」
小学5年生の奈良岡選手に浩さんが最初に与えた課題は、1日素振り3000回、時間にして1時間40分もかかります。
練習時間は2時間しかなく、準備運動(5分)も含めると、体育館を自由に使えるのはたった15分ほどしかありませんでした。
しかもこの素振りを4か月間続けたといいます。
気がつけばバドミントンの基礎が身についていました。
全国大会優勝
それから、競技を初めてわずか3年、小学2年生で全国大会初優勝。
全国大会 | 成績 |
---|---|
中学3年 | 優勝 |
2年 | 優勝 |
1年 | 優勝 |
小学6年 | 優勝 |
5年 | 優勝 |
4年 | 優勝 |
3年 | 優勝 |
2年 | 優勝 |
それから中学3年生まで、各学年で日本一を取るまでに成長を遂げたのです。
目標はオリンピックで金!
奈良岡選手の部屋には、3年前に書かれた目標が貼られています。
そこにはとんでもない目標が!
19歳 | オリンピックで金メダル(2020年) |
---|---|
23歳 | オリンピックで金メダル(2024年) |
27歳 | オリンピックで金メダル(2028年) |
31歳 | オリンピックで金メダル(2032年) |
奈良岡 選手「吉田沙保里さんが3連覇してすごいなと思って、自分はその上をいきたいと思ったので」