あなたが暮らす住宅、突然立ち退きを求められたらどうしますか?
全国に広がる賃貸住宅の老朽化で立ち退きを求められる人が続出しています。
それにもかかわらず、次の転居先が見つからない人も出ているのです。
特に高齢者は、孤立死のおそれや、連帯保証人がいないことから入居を断られる事態も起きています。
全国の借家の数は年々増えているものの、家賃が月5万円未満のものは減ってきています。
その理由に挙げられるのが、老朽化です。
地震などで倒壊するおそれがあるため取り壊すほか、
大家が収入アップを計るため、より家賃が高いマンションに建て替えるなどしているとみられます。
家賃が比較的安い住宅に住んでいる独り暮らしの高齢者や、収入が少ない現役世代の人たち。
こうした人たちが家を追われるケースが出はじめています。
まさに立ち退きの事態に直面している人がいました。
東京葛飾区にある2階建てのアパートに16年間住み続けているAさん88歳。
一昨年(2016年)10月、大家から退去通知が届きました。
建物の老朽化が進み、入居者の安全を守るために取り壊しが必要だという内容でした。
今の家賃は4万5千円で、ここを終の棲家にするつもりでした。
高度経済成長期以降、次々に建てられたアパートなどの賃貸住宅。
昭和56年以前の古い耐震基準で建てられたのは、東京葛飾区内で1万2千戸、全体の14.2%に上り、取り壊しや改修の必要性が高まっています。
区の相談窓口では、今立ち退きを求められた人たちからの相談が相次いでいます。
Aさんも公営住宅を紹介してもらえないか相談にきました。
役所の人「一見空いているかに見えるんですけど、気に入ったからといって民間住宅のように入居できるものではないんです。公の住宅はやはり倍率、希望される方が多いので、中には90倍なんていう公営住宅もあります。」
区も立ち退きを迫られた人は緊急性が高いとして優先的に対応しようとしています。
しかし、将来の人口減少に備えて、公営住宅の数を抑制せざるを得ない事情もあるといいます。
民間の賃貸住宅に移るのも容易ではありません。
頼れる身寄りがないことを理由に、断られ続けている人もいます。
Bさん80歳。かつては横浜に家を持ち、妻と3人の子供と暮らしていましたが、40代後半で経営していた運送会社が倒産、家族に迷惑をかけたくないと離婚して1人暮らしするようになりました。
一昨年(2016年)8月、立ち退きを求められて部屋を探しました。
しかし、入居を断られます。連帯保証人が必要だというものでした。
頼める人もいないBさんは為す術もありませんでした。
賃貸住宅の大家側が連帯保証人を求める大きな理由は、孤立死のリスクです。
ある賃貸住宅の部屋で、71歳の男性が孤立死したケースでは発見されたのが一週間後でした。
臭いや汚れのため、床や壁を全て張り替え、その改修費用は約100万円にも上りました。
その男性には連帯保証人がいませんでした。
費用は全額大家が負担することになりました。
日本の住宅の内訳は、
持ち家(61.7%)、賃貸住宅(28%)、公営住宅(3.8%)、その他...
となっていて、
このうち立ち退きが起きている賃貸住宅の老朽化が今後、より深刻になってきます。
2017年では、全国で築40年以上の賃貸集合住宅の割合が7%でした。
その後の予測では、
2022年(5年後)には、全国で築40年以上の賃貸集合住宅が14%、
2027年(10年後)には、全国で築40年以上の賃貸集合住宅が25%にも上ります。
4軒に1軒の割合で取り壊しの必要性が高まります。
早くから住宅建設が行われた都市部から老朽化が進んでいきます。