グリーンランドの北、北極圏にある人類最北の町「カナック」。
野外に設置した箱の中に、町の人がハンティングしたという「アザラシの肉」がぶつ切りにされた状態で入っていました。
この肉を、ソリを引っ張るために飼っている犬たちにあげるといいます。
この時の肉は、5月に狩ったアザラシの肉で、取り出したのは7月下旬でした。
町の人は、約3ヶ月間放置した生肉を火を通さずそのまま口にしていました。
なぜ、カナックの人々は生のまま食べることができたのでしょうか?
動物が死ぬと、2つのことが起きます。
1つは食べ物についた細菌が食べ物を分解していく。この時は、菌自体が増えて、くさい臭いを出していく。食べ物が食べられなくなる。これが「腐敗」。
それとは別に「自己消化」、生き物自体が持っていた酵素が、それが働いて自分のタンパク質を分解する。自己消化は「熟成」に近い。おいしさができあがってくる部分。
北極は気温が非常に低いため、腐敗よりも自己消化が優勢に進んだため、長く放置した肉を生で食べることができたと考えられます。