カタツムリの殻に「右巻き」と「左巻き」があるのをご存知ですか?
東京大学大学院理学系研究科の 細将貴 先生が説明していました。
カタツムリのほとんどの種類は右巻きですが、たった1個の遺伝子が変わるだけで左巻きになります。
(ちなみに、カタツムリは殻から出られません)
カタツムリを正面から見たとき、穴が右に来れば右巻き、左に来れば左巻きです。
カタツムリは、同じ方向に巻くものとしか交尾ができません(交尾しずらい)。
右巻きから左巻きに進化するとき、数の少ない左巻きは交尾の機会が少なく不利だったはず、それなのになぜ左巻きが存在するのか?
その鍵となるのが、カタツムリだけを食べる「イワサキセダカヘビ」の存在。
(↓こちらは「コマイセダカヘビ」の写真)
イワサキセダカヘビ は、歯の数が左右で違います。
左側には16本、右側には24本の歯が生えています。
右巻きカタツムリを食べるために進化しました。
ヘビは右の顎と左の顎を、人間の手のように別々に動かすことができます。
ヘビがカタツムリを食べるのに肉を引っ張り出すときに、歯の数が少ない方で奥まで突っ込んで手前に引き出し、多い方でそれをキープします。
しかし、わざわざカタツムリを食べなくても、ナメクジを食べたらいいのではないでしょうか?
これには理由があって、
イワサキセダカヘビが生息する西表島には、ナメクジがいなかったので、カタツムリばかりを食べていたということです。
ナメクジを食べていたという種類のヘビは、両側の歯が均等だったということです。
この話を踏まえて、左巻きになったらヘビに食べられないという有利さでカタツムリが進化できたという話です。
(例えるなら、右利きの人が左手でご飯を食べようとしたときに、うまく食べられずに落としてしまうといったところでしょうか。)

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)
- 作者: 細将貴
- 出版社/メーカー: 東海大学出版会
- 発売日: 2012/02/01
- メディア: 単行本