免疫療法の技術を使った、白血病の治療薬「キムリア」について保険の適用が承認されました。
その販売価格は、3,349万円で、日本最高額の薬となりました。
キムリアは、患者から取り出した免疫細胞に、がん細胞への攻撃力を高める遺伝子を注入、培養して患者の体に戻すというもの。
大量生産ができないため、既に販売されているアメリカでも約5,000万円と非常に高額です。
投与は一回だけで済むといいます。
厚労省によると、
この薬が必要な患者は、年間216人(ピーク時)、販売金額は72億円になる見通しです。
来週から保険適用となり、年収500万円の人の場合、自己負担額は40万円となります。
なぜ、約3,300万円の薬が、こんなにも安くなるのでしょうか?
サラリーマンの場合、健康保険が、私たちが納める保険料と、勤め先の企業や国からの税金で賄われています。
私たちが病院に行った時に、支払う薬や治療の費用というのは、健康保険が7割、自己負担が3割。
しかし、3割負担でもキムリアの場合、約1,000万円にもなります。
そこで、医療費を払えないという人を救済する仕組みがあります。
それが「高額療養費制度」。
収入に応じて負担する金額に上限を設けます。
例えば、年収が500万円の人の場合、自己負担額は40万円となります。
この制度で、患者の負担は少くなりますが、問題なのは健康保険で、6割が赤字なのです。
保険料率は12年連続で上昇していて、今後もさらに上がる見通しです。
こうした状況から、健保連は、
「今の保険制度は湿布薬やビタミン薬も同等にカバー、医薬品の概念が変わるなら制度も時代に合わせるべき」
として、現状の制度の見直しを提案しました。
これは、病院から処方箋をもらって私たちが3割負担で購入することができる「湿布薬」や「風邪薬」などを保険適用から外して市販薬に賄ってもらうというもの。
短期的に見ると高額な新薬の登場によって医療費が大きく増えることがあるが、長期的に見ると新薬によって病気が治り医療費が減ることにもなるので、費用対効果が重要となってきます。