あるメーカーの2つとも全く同じ時計の裏側を見てみると、
片方(右側)は「MADE IN JAPAN」と刻印されていて、
もう片方(左側)は「Assembled in china(中国で組み立て)」というシールが貼られています。
いったいどういうことでしょうか?
この時計の販売会社社長によると、
「本来なら日本でもっと組み立てるべきなんですけどコストがかかりすぎて・・・」
と、日本だと人件費のコストがかかるので、中国で時計を組み立てているとのこと。
人件費の安い中国で組み立て「中国で組み立て」シールを貼る、
日本に輸入し、そのシールをはがし最終工程を行い「MADE IN JAPAN」の刻印をして商品として販売する、という流れです。
もし、中国で「MADE IN JAPAN」と刻印してしまうと、「MADE IN CHINA」ではないかと、税関で止められるおそれがある。
日本の関税法では、原産地を誤って認識させるような表示をしているものは輸入してはいけない。
景品表示法では、製品の内容に実質的に変更をもたらす行為が行われた国を「原産国」としている。
つまり、製品の肝の部分を作った国のこと。
例えば、腕時計の場合は動力部(=ムーブメント)が作られた国が基準(1973年〜)
しかし、この法律だけでは日本の時計の品質が保てないと、
日本時計協会の原産国表示の基準は「全体を組み立てた国」とするが、今回のこのメーカーは協会非加盟だった。
このように、今回のこの時計の原産国表示は、違法ではなく抜け穴となっている。
ちなみに、スイスではムーブメント、組み立て、最終検査を国内で行うことや、自国製部品の割合などの厳格な規定が、1971年に法律で制定されている。

メイド・イン・ジャパン・スペシャルブック 日本が誇る技術と伝統の逸品 (別冊山と溪谷 694号)
- 作者: 天夢人
- 出版社/メーカー: 天夢人
- 発売日: 2018/12/15
- メディア: ムック