薬が苦いのはなぜ?という話がありました。
実は、薬を水に溶けにくくするために、苦くしているそうです。
いったいどういうことでしょうか?
良薬は水に溶けにくい
薬が体のどこで吸収されるかがポイント。
胃の長さは約30cm、この中で薬が滞在している時間は短くほとんど吸収されない。
一方、小腸の長さは約6mあり、薬の滞在時間が長いので、薬の成分の大部分が小腸から吸収される。
しかし、その小腸の内側にはある特性がある。
水に溶けやすいものは吸収しづらいというもの。
小腸の壁は必要な成分が漏れ出さないように、油を含んだ膜で覆われているので、
水や水に溶けやすいものを吸収しづらくなっている。
そのため、薬も水に溶けやすいと吸収されにくいので、溶けにくい性質が重要になる。
水に溶けにくいものは苦い
古くから人間は天然の草や木を薬として利用してきた。
植物に含まれる薬用成分は病気の原因となる細菌を攻撃して殺してくれる。
しかし、必要以上の量を摂取すると、細菌だけでなく健康な体も攻撃してしまう毒にもなる。
つまり、人間が昔から使っていた植物に含まれる薬用成分はある意味毒でもある。
毒を大量に摂取しないように、ヒトは毒を苦いと感じるように進化した。
この毒と呼ばれる総称を「アルカロイド」という。
アルカロイドには苦いという特徴以外にも、水に溶けにくい性質がある。
苦味成分(アルカロイドの一種)と甘味成分がそれぞれどれくらい水に溶けるか混ぜてみると、
甘味成分は溶けているが、苦味成分は溶けずに底にたまっている。
例えば、鍋で野菜を煮詰めた時に出てくるアクには苦味成分が入っているので、水に溶けずに浮く。
薬は苦い
製薬会社では、苦いアルカロイドに似た水に溶けにくい成分を作って入れている。
小腸で吸収されやすくする → 水に溶けにくくする → 薬は苦い
「良薬口に苦し」という言葉はまさにその通り。
とはいえ、苦い薬は嫌なので、カプセルに入れて飲み込んでから溶けるように工夫したり、
子ども用にはシロップ入れて苦味をごまかしている。