昔は日本も9月入学だった!という話:池上彰のニュースそうだったのか!【2020/05/09】

昔は日本も9月入学だった!という話です。

世界では9月入学が多い

世界を見てみると、いわゆる先進国といわれる所では、とりわけ、9月入学の所が多い。


アメリカは地区や州で異なるが、7月から9月。カナダも9月。ロシア、中国、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどは、みんな9月。

ドイツは8月。

南米を見ると、1月から2月、3月が多いということは、南半球は春夏秋冬が逆なので、つまり、北半球は秋、南半球の秋がこのぐらい。

つまり、秋入学の所が多い。

アジアはバラバラだが、いわゆる日本のように4月入学は、インド・ネパール・パキスタンぐらい。

あとは、南米のエクアドルの海岸地帯。

韓国は3月。タイは5月。フィリピンは6月だったりとアジアはバラバラ。

特に欧米は、大体9月ぐらいというわけ。

ちなみに、入学式は海外ではほとんどない。

児童・生徒が集まって入学式をするのは日本ぐらいで、独特の風習。

なぜ9月入学が多いのか?

そもそも、農業が関係していたといわれている。

昔から7月、8月は農作物の収獲で大忙しで、子どももみんな親の手伝いをする。

それが落ち着いた9月ごろ、季節がよくなったころに学校を始めたらどうかと秋入学が定着したといわれている。

日本も9月入学だった

実は、日本も学校教育が始まったころの明治時代は9月入学だった。

明治のころは、西洋文化を取り入れたために、入学は9月だった。

夏目漱石の小説「三四郎」の中に、

三四郎が東京帝国大学に入学することになり、東海道線で東京に向かう途中、なぜか列車の中で知り合った女性と名古屋の旅館で相部屋ということになり、若い三四郎青年が戸惑うというシーンの中に蚊帳の描写が出てくる。つまり8月だった。9月から入学するので東京に向かっていたのだが8月だった。

つまり、明治のころは実は9月入学だった。

では、なぜやめたのか?

なぜ4月入学になったのか?

国の会計年度が4月からとなったので、学校も4月からとなったのが大きな要因の1つ。

もう1つの要因が「徴兵制度」。

明治になって近代的な軍隊を作ることになり、徴兵制度が始まる。

すると、徴兵対象者の届け出期日が、最初は12月だったが、会計年度に合わせて4月にしようとなった。

当時、大学生は将来、国を背負って立つエリートなので、徴兵猶予が認められていた。

ところが9月入学だと、4月の段階で徴兵されてしまうので、そうならないように4月入学とした。

しかし、太平洋戦争が激しくなってくると、学徒出陣として、大学生の文化系の学生の徴兵猶予は取り消された。

そのあと、日本で4月入学が定着したのは大正時代となった。