今年(2020年)4月に運用が開始された「八ッ場ダム」。
台風シーズンに、ダムの水量調節は非常に重要になってくる。
去年(2019年)10月に到来した台風19号は、この一帯にも大雨を降らせた。
このとき、八ッ場ダムが空っぽだったため、大量の雨水をダムにためて下流の増水を防ぐことができたといわれている。
現在は、これ以上ダムの水位が上がらないよう、流入量と放流量を同じ毎秒11トンにしている。
これでも少ないそうで、放流量は多いときで、毎秒200トンにもなるという。
そして、八ッ場ダムには他にも驚きの放流技がある。
ダムというのは、ただ水をためるだけではなく、大きな役割を担っている。
まず1つは、「治水」。
洪水などから身を守るために、ダムに水をためて流すこと。
もう1つは、「利水」
水を供給源として、田んぼや農家に水を流して分けてあげる。これを利用するということで利水という。
もう1つは、「発電」
ダムの水の勢いで水車を回して発電をしている。
最後に、「環境を守る」
ダムは人工的なイメージがあるかもしれないが、環境を守るとはどういうことか。
こちらは八ッ場ダムを縦に割った、断面図。
実は、水がたまっている横には、29段の取水口がある。29か所から水を出せるようになっている。
なぜ、こういうことをしているのか?
実は、100メートルぐらい深さがあるので、上の方の水は太陽の光で温まって、下の方は冷たい。
上の方と下の方で20度くらいの温度差がある。
上の方を流すとキレイな水で、下流の方が水温が高くて温まっていく。
すると、生態系に影響が及ぶということで、1度くらいの差でも大きな差だという。
一方で、下の方を流すと、冷たいが濁っている水なので、非常に生物にも影響を及ぼしてしまう。
なので、29段階でどの段を放流するか、ここまで考えている。
ダムの中でも、八ッ場ダムの29段が一番多い。
八ッ場ダムから利根川の河口までの距離は約200km。
ダムから水を放流して、河口に到達するのにどのくらいの時間がかかるのか。
実は、この山から海まで最大で3日かかる。
なので、大雨が降った後、3日ぐらいは気をつける必要がある。