歌うとストレス解消になるのはなぜ?という話がありました。
これに、斎藤一郎 先生 (鶴見大学 歯学部 教授)が答えていました。
まず、ストレスが解消したかを見分ける方法がある。
それは、「唾液の量」。
唾液には、食べ物の消化や、口の中に残った食べ物を洗い流す働きがある。
その唾液とストレス解消には、どのような関係があるのか?
実は、歌うことで唾液が大量に分泌する。
唾液の分泌量がストレス解消のサイン。
なぜ、ストレスが減ると唾液が出るのか?
歌っている時というのは、副交感神経が優位の状態、つまり、リラックスしているから。
例えば、寝ているとき、ヨダレが出ている経験はありませんか?
まさに、睡眠はリラックス状態なので、唾液の分泌が増えている。
つまり、歌った後というのは、寝ている時と同じでリラックスした状態なので、会話している時より、唾液がたくさん出ている。
反対に交感神経が優位の状態、つまり、緊張状態では、唾液の分泌が減少する。
例えば、会社のプレゼンや、結婚式のスピーチの前に、緊張して口がカラカラになることはありませんか?
あれは、人前で話すという緊張で、ストレスが増えてしまい、唾液が分泌されていない。
斎藤 先生が以前行った研究の中で、歌ったあとの唾液の量とストレスを表すホルモン「コルチゾール」の量を測定してみたところ、
ストレスを表すコルチゾールというホルモンは減少し、唾液量は増えていた。
では、なぜ、人は歌を歌うとリラックスするのか?
それは、歌っているときの「顔の表情筋」が関係している。
遠い我々の祖先は、獲物が取れたときや豊作だったとき、歌って喜びを表現した。
古来人間は、怒りで気持ちを高ぶらせる時や、悲しみを乗り越える時、みんなで楽しみを分かち合う時も、歌で喜怒哀楽を共有して生きてきた。
今、私たちが歌っている時は、楽しく笑顔になっている。
この「笑顔」というのは、特に表情筋がよく動いている状態。
この表情筋がスイッチとなり、人間の潜在的にある、歌って喜びを表現してきた記憶がよみがえり、リラックスしているのだと考えられる。
つまり、顔の筋肉が動き笑顔で歌っている時は、喜びの記憶がよみがえり、ストレスが解消されて、幸せな気分になると考えられている。