商品価格表示の総額表示義務化が、来年(2021年)4月から始まる。
例えば、消費税率が10%の場合、税抜き950円から1045円の表示になる。
しかし、激安を売りにしているスーパーでは、
数千枚あるポップの値段の付け替えに、数十万円かかるのは死活問題だという。
さらに、価格が高くなったと思われて、客の買い控えが起きないか心配もあるという。
他にも、
出版業界の一部では、本が絶版にならないかと危惧されている。
日本出版者協議会の 水野 久 会長によると、
水野「今、書店にある本はほとんど(総額を)表示していない。ほとんどの本が本体がいくらで、プラス税という表示の仕方ですね。そういう外税の表示になっていて、(過去の)消費税の改定を混乱なく乗り切ったものですから。」
現在、書店に並んでいる本の価格は、本体価格に加え、税としか表記されていない。
そのため、税込み表示が義務化されたら、出版社は全ての本を書店から回収し、カバーを変えるなどしなくてはならないという。
しかし、この表示変更は既定路線だったはず、なぜ今、反対するのか?
水野「コロナの関連のことで、大変な思いをしている中で、これで来年(2021年)の3月に総額表示というところで、またそこへの労力を小売の現場に何かが降りかかってくるっていうのは、とてもよくないんじゃないか、というのが私たちの考えです。」
反対の声は、出版社側からだけでなく、消費者からも上がっていた。
SNSでは、「このままだと絶版になる本が増えるかもしれない」という投稿もあった。
なぜ、絶版になる本が増えるのか?
水野「1989年の3%の消費税導入時、総額を記載するようにという強い指導があったので、新刊本は新たに表示するにしても、そこから出す本にあたっては、出来上がっている本にシールを手貼りしていくことになるわけですよね。機械作業ではなくて、手作業で貼り込むことになりまして、これをやるよりは、もう(本を)出さないことにしようというので、約2万タイトルが絶版になったといわれています。」
価格表示の変更を諦めたことで、約2万タイトルが絶版してしまったという。
街の人に聞いた、表示価格についてのアンケートによると、
やはり、税込価格の表示の方が分かりやすくて良いという人が多い。
しかし、一方で「総額表示義務化」は、政府による、税率をあげる時のための布石ではないか?という話もある。