売っている野菜が同じ大きさなのはなぜ?という話:チコちゃんに叱られる!【2020/10/30】

売っている野菜が同じ大きさなのはなぜ?という話がありました。

これを和久井健司 先生(東京農業大学 教授)が説明していました。

スーパーなどで売られている多くの野菜は、大体が同じ大きさ。「販売できる規格が決まっているから」と思われるかもしれないが、大きな要因は野菜が【F1種】のものだから。F1種とは、タネの種類のこと。野菜のタネは大きく分けて、【F1種】と【固定種・在来種】。

現在、スーパーでよく見る野菜は、ほとんどのものが【F1種】で大きさがほぼ同じ。

一方、京野菜、加賀野菜などに代表される【固定種・在来種】と呼ばれる野菜は、大きさや形がバラバラになる。

昭和初期までは、固定種の野菜が一般的だった。

しかし、戦後、人口増加や環境悪化などに対応し、安定した食料確保をするため品種改良が行われた。

そこで、メンデルの法則を使って、【F1種】のタネが作られるようになった。

メンデルの法則とは?

丸いえんどう豆」と「しわしわのえんどう豆」をかけ合わせた場合、全て丸い豆になる。

丸は特徴が表に現れやすい遺伝子(優性

しわしわは特徴が現れにくい遺伝子(劣性

遺伝子をかけ合わせた図で表してみたのがこちら。

特徴が現れやすい丸い豆の遺伝子を「AA」、特徴が現れにくいしわしわの豆の遺伝子を「aa」と記号で表した場合、かけ合わせると全て「Aa」となる。

こうなった場合、Aの特徴、つまり「丸い方」だけが表に現れる。

これが「優性の法則」。

この「優性の法則」を最大限にいかすために、遺伝的に異なる2つの純系の親を交配させ、第1世代のタネを作った。それが【F1種】。正式には「雑種第一代(First Filial Generation)」、略して【F1】。

形がキレイ(AA)で、病気に弱い(bb)トマトと、不格好(aa)で、病気に強い(BB)トマトをかけ合わせると、

形がキレイで、病気に強い野菜が出来る。(メンデルの法則)

この法則を使って作られたのが【F1種】のタネ。

このタネから出来た1代目は、全てが同じ良い野菜。

だけど、2代目からは、いろんな野菜が出てくる。

これは、特徴が現れにくい遺伝子も、次の世代へと受け継がれるから。

親の2つの野菜。例えば、見た目がキレイだけど病気に弱い野菜の遺伝子が「AAbb」、見た目は悪いけど病気に強い野菜の遺伝子が「aaBB」だとする。

「見た目がキレイ」や「病気に強い」という特徴が表に現れやすい遺伝子だった場合、2つを合わせてできた子供、つまり【F1】の野菜の遺伝子には、AとBが必ず含まれるので、全てが見た目がキレイで病気に強い野菜「AaBb」になる。

しかし・・・、

F1同士が親の子供、つまり、2代目の野菜は、形が良くて病気に強いものもできるが、

形はいいけど、病気に弱いもの、形が悪く病気に強いもの、形が悪く病気に弱いものもできてしまう。

そのため、その野菜からはタネは取らず、【F1種】のタネで野菜を作っている農家は、毎年新しい【F1種】のタネをまいて育てている。

ちなみに、【固定種・在来種】は、土地ならではの品種の野菜。野菜本来の独特の味わいのある野菜が出来る。そのため、たまに、人間の足みたいな面白い形の大根ができたりもする。