クリスマスにツリーを飾るのはなぜ?という話がありました。
これについて、クリスマス文化について研究している 木村正裕さん が説明していました。
もともとは、クリスマスにツリーは 飾られていなかった。
「クリスマスの起源」という文献によると、
325年から354年の間にクリスマスが祝われるようになっていたと書かれているが、
ツリーに関する記載はどこにも見当たらない。
実は、「クリスマスツリー」の起源は、常緑樹で作られた「マイエ」という飾り。
冬でも緑の葉を保つ「常緑樹」は、生命の象徴とされており、
ヨーロッパではキリスト教が広まる前から、冬至や収穫祭などの行事で魔よけとして「マイエ」を飾っていた。
なぜ、この「マイエ」が「クリスマスツリー」になったのか。
これは、キリスト教がヨーロッパに広まっていたことに大きく関係している。
中世に入ると、ヨーロッパでは、既存の宗教からキリスト教への改宗が進んでいった。
そこで、問題となったのがマイエの存在。
キリスト教では、形あるものを信仰の対象として崇拝する「偶像崇拝」否定しており、常緑樹を飾るマイエは認められていなかった。
しかし、民衆はマイエを飾り続けた。
そこで、キリスト教はある決断を下す。
キリスト教は、民衆を取り込むため、マイエを飾ることを認めた。
こうして、マイエはキリスト教でも生命の象徴として受け入れられた。
そして、イエス・キリストの誕生を祝う12月25日のクリスマスにマイエを飾る習慣はヨーロッパ各地へと広まっていった。
現在のドイツ南西部周辺では、マイエに「モミの木」を使っていたので、クリスマスにモミの木を飾るようになった。
これが、クリスマスツリーの起源。
このモミの木のクリスマスツリーが周辺の国に広がっていき、さらに、王侯貴族が他国と婚姻関係を結ぶようになると、このモミの木のクリスマスツリーは、ヨーロッパ中に浸透。
それが、次第に世界中に広がっていき、世界各国でクリスマスツリーを飾るようになった。
当時、今のようなキラキラとした装飾はほとんどなかった。
しかし、ある人物がクリスマスツリーにロウソクを灯して、徐々に今のようなきらびやかなクリスマスツリーになっていった。
その人物とは、マルティン・ルター(1483-1546)。
16世紀当時のカトリックに異を唱え、プロテスタントと呼ばれる教徒が生まれた宗教改革運動のキッカケを作った人物。
そんな彼は、夜道を帰宅中に木の葉の間から星がきらめいているのを見かけ、あまりにも美しかったことから、ツリーにロウソクで明かりを灯すことを発想。
以後、クリスマスツリーにロウソクを灯す習慣が広まっていったといわれている。
そして、1879年に、エジソンが白熱電球を発明すると、ロウソクは電球へと替わり、現在のようなキラキラとしたクリスマスツリーへと変わっていった。