「シミ抜き」だけを研究する「不入流」の話:突撃!カネオくん【2021/02/13】

多くのクリーニング店の店内には、「不入流」という看板が掲げられていた。


これは、シミ抜きだけを研究する「不入流(いらずりゅう)」 というもの。

シミ抜きの達人、高橋勤 さんが、着物店でのシミ抜き係を経て、1980年に「不入流」を創設。

シミ抜きの技法は、約1260種類。

「シミ」「汚れ」であれば、絶対的に落とせるという。

以下で、その 一部をご紹介。

汗ジミ

こちらは、「つぼ抜き」。

つぼの中には、「度数の高いお酒」と「お酢」から作られた 「酸性の液体」が入っている。


酸性の液体は、生地の色落ちもしにくい。

長年の経験をもとに開発したオリジナルの万能薬品。

これに、汗ジミがついたシャツを2時間ほどつけておくと、真っ白になった。

この魔法の液体は、約6割のシミを落とす。

墨汁のシミ

子どもの服によくつく「墨汁のシミ」。

これには、炊いたお米の「ご飯粒」を使う。

墨汁のシミは、墨汁の成分であるカーボンが生地の繊維の中に入りこんでしまったもの。

粉石けんと混ぜて生地に押し当てると、このカーボンをお米にくっつけて取り出せる。(とりもち作戦のようなもの)

しょうゆのシミ

ご飯を食べる時によくつく、「しょうゆのシミ」。

これには、「大根」を使う。

持ちやすいサイズにカットした大根に「固形せっけん」をつけて約3分こする。

大根には、でんぷんやタンパク質を分解する「酵素」が含まれている。

大根は生地を傷めないのが特徴で、着物やシルクの洋服などの汚れにも使われている。

油のシミ

揚げ物などの料理中に はねてついてしまう、「油のシミ」。

これには、「きゅうり」を使う。

まず、きゅうりの色素がうつらないよう皮の部分をカット。

固形せっけんをつけて、汚れに押し当てながら少しずつこする。

カレーのシミ

最強のシミと呼ばれるのが、「カレーのシミ」。

カレーには、しょうゆなどの調味料、お肉の脂のタンパク質などいろいろなものが複合されて入っていて、難しいシミになっている。

これには、「胃腸薬」を使う。


胃腸薬の中には食べ物の消化を助ける働きがあるので、それを使ってお腹の中で消化するように汚れを落とす。

大根をスポンジ代わりに使って、胃腸薬と石けんを交互につけていく。

3分こすったら、胃腸薬がのこらないように、水ですすぐ。

これを繰り返し行っていく。