走っている人がやたらと音楽を聴いているのはなぜ?という話がありました。
これについて、音楽と運動の関係性について研究する 河瀬諭 先生(神戸学院大学 心理学部 准教授)が説明していました。
音楽には、運動をする時に感じる疲労感や、つらいと思う気持ちをかき消してくれる作用がある。
運動をすると、汗をかき、心拍数が上がり、脳が疲れを認識して、SOSのサインを出す。
これを体が受け取ると、疲労感を感じるようになる。
しかし、音楽を聴くと、脳内でドーパミンなどの快楽物質が放出され、楽しさや喜びの感情が生まれる。
この快楽物質には、SOSのサインを感じにくくさせる作業があり、一時的に疲労感を軽減すると考えられている。
オーストラリアで行われたランニングの実験では、「音楽あり」の方が、疲れを感じるまでの時間が20%程度も長くなったという結果も出ている。
音楽や、それによって引き起こされる喜びや楽しさの感情が脳からのSOSのサインをかき消し、運動能力を向上させたり、長続きをさせると考えられている。
さらに、音楽が運動にもたらす効果は、他にもある。
街中を歩いていて、流れる音楽のリズムに自然と歩調を合わせて歩いてしまう経験はないだろうか?
これは、引き込み現象といって、体がリズムに合わせて動いてしまう。
人間には、リズムに合わせて体を動かす習性がある。
音楽のリズムに体を合わせることで、運動のペースを一定に保てる効果がある。
一般的には、1分間に120拍前後のリズムを刻む曲が、最も心地よく感じるとされている。
ウォーキングなどに最適だと言われている。
例えば、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」や、ボン・ジョヴィの「It's My Life」などが約120拍。
さらに、音の種類によって、体の動き方も変わってくる。
例えば、一般的な電子音を聞く、これをバスドラムに変えると、なんとなく体が勝手に動く。そして、ここにスネアドラムとハイアットの音を足して、さらにリズムを変えてみると、どんどん体を動かしたくなる感じが出てくる。
この体を動かしたくなる感覚を「グルーヴ」という。
日本語で言う「ノリ」みたいなもの。
グルーヴ感が強い音楽ほど、体を動かしたくなり、より楽しさも感じるといわれている。