森と林の違いってなに?:チコちゃんに叱られる!【2021/06/04】

森と林の違いってなに?」という話がありました。

これについて、小泉武栄 先生(東京学芸大学 名誉教授)が説明していました。

まず初めに、こちらの写真は、森でしょうか?林でしょうか?


考え中

正解は「林」。

そして、こちらは「森」。

実は、木の数は関係ない。

いったい何が違うのか?

ことばの成り立ちで見分けられる。

森 は 「盛り」。

もともと、森とは、盛り上がった土地に自然に生えた木々。

森は、山に近い意味。

古来の人々は、森と山を同一のものと考えており、その証拠に、山の名前で「◯◯森」など、森が山を意味する場所が日本各地に多数存在している。

林は「生やす」。

もともと、林とは、人の手で生やした木々。

例えば、江戸時代。城や寺院を建てるため、人々は次々と大量に木を切っていった。

その結果、幕府は森林を守るため、木々の管理を開始。

計画的な伐採・植林など、人の手で生やした木々は、御林(おはやし)と呼ばれた。

森と林を見比べると、

森は、木々の大きさがバラバラで、様々な種類の木々が入り混じり、いかにも自然にできた木々の集まり。

林は、同じ種類の木が規則的に並んでいる。人の手で計画的に植えられた証拠。

しかし、なぜ我々は、この違いを普段あまり意識していないのか?

戦争の前後で起きた大規模な森林伐採が影響している。

昭和の日本では、戦争が激化。資材として大量の木材が必要となった。

また、終戦後も建物を建て直すのに、木材は欠かせなかった。

同時期に紙の需要も増えたことで、自然の森を伐採し、人々が目にする山々の森は、人工の林になった。

本来の意味の「森」が減少したため、「森」と「林」をわざわざ区別しなくなっていった。

実際に、現在の植物学や林学の世界では、「原生林」と「人工林」という、ともに「林」を使った言葉で、自然か人工かを区別している。