服が水にぬれると色が濃くなるのはなぜ?という話がありました。
これについて、藤田貢崇 先生(法政大学 科学ジャーナリズム・物理学 教授)が説明していました。
「実は、濡れている部分こそ布本来の色なのです。」
一体どういうことなのか?
私たちが色をどのように見ているかというと、
まず、太陽や電灯の光は、私たちの目で見ると白く見えるが、実は、これらの光には、さまざまな色が含まれている。
その光は、例えば、
赤色の服なら赤以外の光は服に吸収され、赤の光だけが反射して、私たちは赤に見える。
青い服であれば、青色だけを反射しているので、青に見えるというわけ。
では、なぜ、乾いている場所と濡れている場所で色が変わるのか?
服は、繊維で編み込まれていて、
その表面を拡大してみると、デコボコしている。
そうすると、服に当たる太陽などの光が、いろんな方向に跳ね返ってしまい、物が白っぽく見えてしまう。
これが「乱反射」という現象。
例えば、波だった海の先端が白く見えるのは乱反射の影響。
太陽の光に含まれる様々な光があらゆる方向に跳ね返り、全ての色の光が再び混ざり合って目に届くので、もとの太陽光のように白っぽく見える。
乾いた服の場合も表面がデコボコのため、赤以外の光の一部も、あらゆる方向に跳ね返り、素材本来の赤より白っぽく見えている。
では、なぜ服が水に濡れると、色が濃く見えるのか?
服が水に濡れると、表面のデコボコが薄い水の膜に覆われて、表面が平らになっているので、光は乱反射できなくなってしまう。
色を白っぽく見せていた乱反射が減って、服の本来の色が見えてくる。
つまり、水によって表面が平らになることで、あらゆる方向に反射していた光は、服の中に吸収され、服本来の色のみが反射することになる。
これは、服以外でもある。
石に水をかけると色が濃くなったり、
木にニスを塗ると色が濃くなるのは、表面が平らになることによって白っぽく見せる光の乱反射が抑えられ、本来の色が見えているから。