なぜ血は赤いのに血管は青く見えるのか?:チコちゃんに叱られる!【2021/10/15】

なぜ血は赤いのに、血管は青く見えるのか?という話がありました。


これについて、錯視研究の第一人者の 北岡明佳 先生(立命館大学 総合心理学部 教授)が説明していました。

そもそも、教科書などで、動脈は赤、静脈は青というのを見ているので、血管が青に見えるのも当たり前だと思いがち。

しかし、血管は「動脈」「静脈」も基本は赤い色。

血液には、「赤血球」という酸素を運ぶ 赤い細胞が含まれているので、血液自体の色は赤に見える。

そして、血液が通る血管は、半透明。

だから、本来、血管自体も赤血球の色である赤に見えるはず。

では、なぜ赤い血管が青く見えるのか?

血管は青く見えるが、実は、肌の色に近い「灰色」。

ここで、血管の色を数値化してみる。

私たちが目にする色は、赤・緑・青の3色の光で表現でき、

この3色の割合が変わることで、さまざまな色を生み出すことができる。

例えば、色を数値化できるソフトで、黒を計測してみると、RGB(赤緑青)の数値は全て「ゼロ」になる。

続いて、白を計測してみると、3つの数値全てが最大値である「255」になる。

そして、一般的に灰色というのは、3色の数値がほぼ同じ状態のことで、数値が大きいほど「明るい灰色」、数値が小さくなるほど「暗い灰色」になる。

ちなみに、灰色のネズミを測定してみると、

RGBの3つの色は、数値がほぼ一緒。

ヒトの血管の色を見てみると、3つの数値は近く、青色が低い灰色。

しかし、どうして、赤いはずの血管が灰色に見えるのか?

これは、皮膚に入った光の吸収率の違いによって、肌の色に近い灰色になっている。

私たちが認識している色というのは、物体が浴びた光の中から物体に吸収されなかった色。

りんごを例に見てみると、

太陽から出る光は「白」。白は赤と緑と青が均等な状態。そして、りんごは表面で緑や青の成分を多く吸収し、赤の成分はわずかしか吸収しない。その結果、残った赤の成分が目に届き、りんごは赤く見えている。

これが、腕の血管の場合・・・。

太陽から来た光のうち青と緑は、血管を覆っている皮膚で、ある程度吸収され、残りが目に届く。一方、赤は、皮膚ではわずかしか吸収されず、そのまま血管まで届く。そして、赤いリンゴ同様、赤色の成分がわずかに吸収される。その結果、3色の数値はほぼ同じバランスになるため、血管は灰色として私たちの目に届く。

では、なぜ、灰色の血管が青く見えるのか?

私たちは、似た色が近くにあると、どちらか 一方の色を別の色に変えて見てしまう。

確かに、血管の灰色と肌の色は似ている。

この時、よりくすんだ色である血管部分の色を 腕の色の反対の色である青として見てしまう。

どういうことなのか、色の関係性で見てみると、

肌の色のエリアの反対は、確かに青になっている。

このように、私たちは、肌の色に近い血管の灰色を その反対色である青い色に錯覚している。

それくらい、人間の目は錯覚しやすい。

実際に、私たちの目はどれくらい錯覚しやすいのか見てみる。

こちらの2つのハートは何色ですか?

左が黄色?、右が紫色?

実は、どちらも灰色。

灰色のハートが2つ描かれた紙の上に、

左には緑の縦じま模様、右には青の縦じま模様、

その間は透明になっているシートを重ねている。

ハートの形に、色がついているように見えるが、しま模様の間は透明。

このシートを裏返して重ねてみると、ハート本来の色である灰色が見える。

ハートが黄色と紫色に見えたのは、縦じま部分の色に影響され、本来の灰色が違う色に見えるという錯覚。

次に、どちらの四角が明るく見えるでしょうか?

左側の四角の方が明るい という人が多かったのではないでしょうか。

しかし、右側の四角を動かしてみると、両方同じ明るさだということがわかる。

この錯覚は、明るさの対比という現象の一種。

対象がより明るいものに囲まれると暗く見えて、より暗いものに囲まれると明るく見える現象。