切手が左上に貼られているのはなぜ?という話がありました。
これについて、郵政博物館 館長の藤本栄助さんが説明していました。
切手が左上に貼られているのは、そこがイギリス人が見つけたベストポジションだったから。
これは、一体どういうことか?
それは、「消印」に由来する。
「消印」とは、切手が使用済みであることを示すハンコのこと。
再利用を防ぐために、必ず切手にかかるように押される。
1870年ごろ、世界で最先端の郵政事業を行っていたイギリスをはじめ、ヨーロッパの郵便局は、消印を一個一個手作業で押していた。
それを再現した動きがこちら。
切手の貼られた場所を目がけて、消印を押す。
このやり方は右利きが前提。
左手で郵便物を押さえるため、左上と左下は消印が押しづらく、右下も体勢が窮屈になってしまうため、やりづらくなる。
そのため、右上に押している。
この方法がいつどのような形で日本に伝わったのかは、不明だが、
明治17年には、郵便物を重ね、一通ずつ手前に送るイギリスのやり方で、日本も消印を押していたと見てとれる。
ところで、切手は左上に貼るのではなかったか?
西洋の横長の郵便物では、消印は右上がベストポジション。
一方、日本の郵便物は縦長なので、右上ではやりずらい。
そこで、郵便物を横にして左上に押した。
このスタイルが浸透した昭和20年代の実際の映像がこちら。
1分間に、約100通の消印が押せたと言われている。
ちなみに、郵便物を横に傾けても、切手に対してまっすぐ消印を押せるように、ハンコの向きは最初から横向きに作られていた。