なぜ化石は石になるのか?という話がありました。
これについて、吉田英一 先生(名古屋大学博物館 館長)が説明していました。
動物の骨がどうやって石になっていくか仕組みを見てみる。
例えば、人間の骨を見てみると、
中身は、スポンジのようにスカスカ。
血液を作る骨髄や血管が通るので、隙間の多い構造になっている。
もし、このようなスカスカな骨だけだと、時間が経って、砂や泥などの地層が上に積もっていくと、潰れてしまい、骨の形が残らない。
化石として残るのは、スカスカな骨の隙間にぎっしりといろんなものが入って石になるから。
例えば、死んだ恐竜が、何らかの事情で地面に埋まったとする。
こちらは、地面に埋まった骨の状態を再現したもの。
死んでからそれほど時間が経っていない。
恐竜の骨の隙間には、脂や血液などの成分がこびりついて残っている。
そこに、雨が降ったとする。
雨水が染み込んだ地下水は、地層の中にあるカルシウムなどの成分が混ざった水となって、骨の隙間に染み込んでいく。
すると、骨の隙間にある脂や血液と地下水が混ざり合って、ある反応が起きる。
こちらは、吉田先生が行った実験。
隙間のあいた骨を再現したのが、大きさ0.1mmほどのガラスビーズ。
ビーズの回りには、脂や血液の代わりに、炭素を含む有機物を付着させておく。
そこに、カルシウムを含んだ水分を流し込むと、2〜3か月の間に、隙間にどんどん鉱物ができてきた。
この実験と同じように、恐竜の骨の隙間にも、地下水と反応して、炭酸カルシウムという鉱物がぎっしりできる。
つまり、「石」というのは、鉱物が集まって固まったもののこと。
例えば、石灰岩や大理石、鍾乳洞にある鍾乳石は、炭酸カルシウムが固まってできた石。
骨の隙間に炭酸カルシウムが詰まった恐竜の骨も、地球、つまり、いろいろな成分を含んだ地下水と反応することで石となる。