先月(2021年12月)、千葉県こども病院で、輸血ミスがあったと発表された。
心臓の疾患で手術を受けたA型の男の子(生後1か月)に、誤ってAB型の血液を約5ミリリットル輸血。
幸いなことに、男の子は1か月後に無事退院し、現時点では健康被害はなし、家族とは和解が成立している。
なぜ、輸血ミスが起こったのか?
原因は、看護師の”確認不足”。
【1】容器に記載された「患者の名前」を確認しなかった
【2】容器のバーコードとリストバンドのバーコードを照合しなかった
もし、違う血液型を輸血すると、どうなるのか?
日本人における血液型の割合は、A型が40%、B型が30%、AB型が20%、O型が10%といわれている。
赤血球を見てみると、
A型は、Aというトゲ(抗原)が出ている。
B型は、Bというトゲが出ている。
AB型は、AのトゲもBのトゲも両方出ている。
O型は、トゲがない。
血の液体の中には、トゲ(抗原)を攻撃する(抗体)があるが、
A型には、Bのトゲを攻撃する抗体がある。
B型には、Aのトゲを攻撃する抗体がある。
AB型には、ABどちらのトゲもあるので、攻撃する抗体はない。
O型には、ABどちらのトゲもないので、AのトゲもBのトゲも両方を攻撃する抗体がある。
これを前提として、
今回の男の子の赤ちゃんは A型、そこにAB型が輸血されたが、
まず、わかりやすく説明するために、A型にB型を輸血するとどうなるか?
抗体が抗原を攻撃し、大量の血液が破壊される。
これによって、心不全や肝不全につながることもある。
では、A型にAB型を輸血するとどうなるか?
本来なら、同じように血液が破壊されてしまうところだが、
今回のケースでは、たまたま、生後1か月の赤ちゃんには、Bのトゲを攻撃する抗体がほとんどなかった。
通常、抗体は、生後約半年〜8か月ほどでできあがる。
生後1か月ということと、輸血が少量だったということが、不幸中の幸いとなり助かった。
ちなみに、O型の血は攻撃をする抗体がないので、どんな血液型の人にも輸血できる。
しかし、O型の人が血液をもらう場合は、O型の人からしかもらえない。
一方、AB型の人は、すべての血液型の血液を輸血することができる。