なぜ食後にコーヒーを飲むの?という話がありました。
これについて、コーヒーの歴史や文化を研究している 小山伸二 先生(辻調理師専門学校 講師)が説明していました。
コーヒーは、アフリカ大陸のエチオピアが原産地とされている。
そもそも、コーヒーの木からとれる種を
煎って粉にし、煮出した飲み物のこと。
コーヒーは、最初の頃は飲み物ではなくて、実をそのままかじったり、潰して脂と混ぜてだんごにして食べていた。
こちらは、それを再現したもの。
これを食べてみると、苦い。
当時のコーヒーは、今でいうと薬のようなものだった。
実際、コーヒーには、胃の働きを活発にし、生活習慣病の予防になるなど、さまざまな健康効果があるとされている。
その後、15世紀半ば(日本では室町時代)、コーヒーはイエメンに渡って、人為的に栽培されるようになる。
この頃、「カフワ」と呼ばれる飲み物になった。
実は、これが私たちが知るコーヒーの起源。
この「カフワ」は、アラビア語で「ワイン」という意味で、お酒を飲めないイスラム教の人々が、当時、お酒の代わりになる飲み物としていた。
その後、コーヒーは、アラビア半島から徐々に北上し、17世紀には、ヨーロッパの国々に伝わる。
ヨーロッパでは、ランチや仕事の合間でも、1〜2杯ワインを飲む人がいる。
時代は近代に入って、体を使う時代から頭を使う時代へ。
その職業は、銀行業や保険業、新聞など。
こういった仕事は、ほろ酔いの気分のままでは、冷静な判断ができない。
そうならないために、食事の終わりに、ある種「酔い醒まし」の効果を期待して、食後のコーヒーを飲んだ。
フランスの歴史家 ジュール・ミシュレは、本の中で、
「コーヒーは強く脳に作用し、明晰さ明敏さを活性化する 酔いざましの効果がある」と書いている。
こうして、食後のコーヒーは、ヨーロッパのレストランに定着。
日本には、西洋文化が導入された明治の頃に伝わり、食後のコーヒーは初めから洋食とセットで登場した。
しかし、コーヒーには、本当に酔いざましの効果があるのか?
これについて、コーヒーとアルコールの関係に詳しい 岡希太郎 先生(東京薬科大学 名誉教授)が説明していました。
体内に入ったアルコールは、胃から吸収されて、血液に溶け込む。
血液と共に脳に運ばれて、次第に脳の働きをまひさせる。
そのまひが進むと、いわゆる酔が回るという状態になってしまう。
しかし、食後にコーヒーを飲むことで、アルコールによるまひが和らぐ。
これは、コーヒーに含まれているカフェインが脳の働きを活発にして、元の状態に戻すから。
つまり、コーヒーには酔いざましの効果があるといえる。
しかし、完全に酔いがさめるわけではなく、カフェインの効果は頭はスッキリしているが、体は酔った状態。
なので、車の運転などは絶対にしてはいけない。