トラがオレンジ色な理由:ダーウィンが来た!【2022/01/09】

動物の中で、最強とも言われているトラ。

主な色は、黒色と「何色」でしょうか?

日本人100人に聞いてみると、9割近くの人が黄色と答えた。

しかし、外国人に聞いてみると、8人中7人がオレンジ色と答えた。

トラは、日本では黄色、海外ではオレンジ色と考えられているという。

実際のトラの色は、どうなのか?

オレンジ色だった。

黄色と思っている日本人の誤解だった。

黄色でも、オレンジ色でも、色自体にあまり大差はなさそうに見えるが、

トラにとっては、とても重要なことだという。

その秘密を教えてくれるのは「シカ」。

トラの主な獲物であるシカの目の特徴を知れば、わかる。

こちらに色の付いた絵がある。

よく見ると、オレンジ色のトラが5頭、茂みに隠れている。

そして、こちらは特殊なメガネ。

これをかけるとシカの見え方に似た状態を体験できる。

このメガネをかけて見た先ほどの絵が、こちら。

トラ5頭がどこにいるか、事前に答えを知らされていなければ、全然わからない。

逆に、黄色のトラが5頭隠れている絵がこちら。


こちらは特殊なメガネをかけていても、オレンジ色よりも目立っている。

エゾシカの色覚(色の見え方)を研究している 大久保倫子 博士(東京農業大学 生物産業学部)によると、

「シカにとっては、緑色とオレンジ色が同じ色に見えていると考えられる」

とのこと。

一般に、人の目には、色を感じる「赤・緑・青」の3種類のセンサーがある。

この3つの色の情報を合わせることで、様々な色を認識できる。

一方、シカなどの草食動物は、緑と青の2つのセンサー。

そのため、色によっては、違いがわかりにくくなり、同じ色と認識してしまうことがある。

こちらにある「オレンジ・緑・黄」の円盤を先ほどのメガネで見てみると、

黄色は見分けられるが、オレンジと緑は、ほとんど見分けがつかない。

トラが隠れている絵からオレンジ色のトラ5匹を見つけにくかったのは、これが理由。

トラが緑に見えていた。

このように、トラはシカから見つかりにくくしている。