色鉛筆で描いたものが消しにくいのはなぜ?という話がありました。
鉛筆で書いたものを消しゴムで消すと、消えやすい。
しかし、色鉛筆で書いたものは、消えにくい。
鉛筆も色鉛筆も同じ鉛筆なのに、なぜなのでしょうか?
杉谷隆一さん(東京鉛筆組合昭午会 理事)が、説明していました。
そもそも、鉛筆の色鉛筆は全くの別物。
鉛筆の芯は、黒い色をつけるための「黒鉛」と それを固める「粘土」で出来ていて、
鉛筆で書くと、紙の表面のデコボコに、黒鉛の層が引っ掛かって、
まるで、トランプのカードのように、はがれていくため、紙に文字が書けている。
拡大して見てみると、大きさは様々だが、平べったいシートのような形の黒鉛の結晶が、紙に付着している。
この紙のデコボコに引っ掛かった黒鉛の結晶を消しゴムでこすると、
紙に引っ掛かっている平べったい黒鉛が、はがされるため、鉛筆は消しゴムできれいに消せる。
一方、色鉛筆の芯は全く別の原料から作られている。
この芯に使われている原料の違いこそが、色鉛筆が消しゴムで消せない理由。
色鉛筆の原料は、顔料、タルク、ロウ、のり。
ロウは、色鉛筆の色を紙に定着させるために必要。
ロウは、加熱すると約60℃でとけ、冷却すると固まる。
紙に描いている時の摩擦熱が60℃以上。
摩擦熱によってロウがとけ、紙の中に入り込み、
すぐに固まると考えられており、
それを消しゴムで消そうとしても、表面しかはがせず消えにくい。
光学顕微鏡で、見たものがこちら。
ところどころ、色みが濃い部分が色鉛筆の成分が入り込んだ部分。
さらに拡大すると、紙の繊維の間に色がついているのが分かる。
これを消しゴムで消してみると、
紙の繊維の間に入り込んだ部分は、消えていない。
色鉛筆は消すことより色をつけることを優先したため、紙の繊維にロウと混ざった顔料が入り込んで固まるので、消しゴムで消しにくくなっていた。