納豆にからしが付いているのはなぜ?という話がありました。
パックの納豆には、ほとんど、からしが付いている。
そもそも、どうして、納豆には、からしがつけられるようになったのか?
これについて、食文化史研究家の 永山久夫 さんが説明していました。
納豆とからしの関係は、今から400年くらい前、江戸時代の初めから。
江戸時代の初めまで、納豆の主な食べ方は「納豆汁」だった。
当時に出されたレシピ本「料理物語」の作り方の項目を見ると、
「吸口にからしを用いる」と書かれている。
吸口とは、汁物などに入れる「薬味」のこと。
つまり、江戸時代の初めから既に、納豆にからしが使われていたことが分かる。
江戸時代中期以降になると、白米を食べるようになる。
そうすると、ごはんとおかずを 一緒に楽しむ 新しい文化が生まれる。
江戸中期、江戸に住む人々の多くが体力勝負の職人たち。
そこで、早い、うまい、栄養満点 の 納豆かけごはんが大流行した。
からしを納豆のどんぶり鉢にサービスで加えてもいた。
このように、納豆とからしがセットで売られていた習慣が、現代までずっと受け継がれてきている。
では、一体なぜ納豆にからしがつけられたのか?
納豆は、10℃以上の場所に長く置くと、だんだん発酵が進んでアンモニア臭を出すようになる。
そこで、からしの登場。
からしには、アリルカラシ油という辛み成分があり、これにはアンモニア臭を和らげる効果がある。
江戸時代には冷蔵庫がないので、常温保存していた。
すると、納豆は今よりももっと臭かったはず。
そのため、からしがあった方が食べやすかったと思われる。
そして、1960年代後半から冷蔵庫が一般家庭にも普及。
冷蔵庫によって納豆からアンモニア臭があまり出なくなったが、
昔からの名残で、今でもサービスとしてつけられているという。
ところで、納豆パックに付いている からしは使われているのか?
全国納豆協同組合連合会の調査によると、
半分くらいの人が使っていなかった。