ビールの1口目がおいしいのはなぜ?という話がありました。
これについて、のどの感覚について研究している 北川純一 先生(松本歯科大学 歯学部 教授)が説明していました。
実は、ビールの1口目を「おいしい」と感じるのに、味はあまり関係ない。
私たちは、舌にある「味蕾(みらい)」という器官で、
「甘味・酸味・塩味・苦味・うまみ」の味を感じ取っており、
この味蕾は、のどにもあるが、舌とは違い、味をほとんど感じることができない。
しかし、のどには、ビールの1口目をおいしく感じる3つの要素がある。
のどにかかる圧力
つぎたてのビールは白い泡が多い。あの泡がフタとなり、液体には炭酸がたくさん閉じ込められている。
この時、力を入れて飲み込むので、その反動でのどの粘膜同士が触れ合う。
その時に、脳が快感を得る。
これがいわゆるビールの「のどごし」。
アルコール
そもそも、のどが渇いている時、水を飲んでもおいしく感じる。
この、のどの渇きを感知しているのが、のどの神経線維の中にある「水繊維」。
のどの入り口にある水繊維に水分が触れた時、私たちはのどが潤ったと感じる。
そして、のどが渇いた時、ビールを飲むと、水に比べて興奮が長続きする。
そこで、ポイントになるのが、アルコール。
炭酸水が触れた時の水繊維の活動を見てみると、炭酸水が触れた瞬間、神経活動が活発になるが、その後は急降下。
のどが潤った興奮は短い。
一方、ビールの場合、水繊維に触れたあと、神経活動は緩やかに持続している。
このように、アルコールを含んでいる飲み物の方が、のどが潤ったという興奮状態が長続きするため、
よりおいしいと感じる。
炭酸のシュワシュワ感
ビールの炭酸のシュワシュワ感が、のどの粘膜をチクチク刺激することで、
脳が「おいしい」と感じている。
1口目のび~るは、つぎたてですから、シュワシュワ感が強い。
だからおいしさを強く感じる。
このように、3つの要素でのどがおいしいと思っているから、ビールの1口目はおいしいと感じる。
ちなみに・・・
おつまみには、塩気の強いものが多いが、
実は、塩分をとると、
→ 神経活動の興奮状態が収まる
→ 脳がのどの潤いが減ったと感じる
→ 次に飲むビールが1口目のようにおいしく感じる
となる。