なぜ風に当たると涼しくなるのか?という話がありました。
ふだん 扇風機などで風に当たっていると、その風が室温と同じ温度なのに、涼しく感じることがある。
これは、なぜか?
これについて、川村康文 先生(東京理科大学 理学部 物理学科 教授) が説明していました。
風に当たると、体が涼しくなるのは、体の表面の空気が吹き飛ばされるから。
ふだん 私たちの体は、体温であたためられ、外の空気よりもあたたかい空気の層で覆われている。
その空気の層が吹き飛ぶと、どうなるのか?
ここで実験。
スモークマシンを使って、箱の中に煙を充満させることにより、体の表面にある空気の層だけでなく、その周りの空気の温度もサーモカメラで確認できる。
箱の中の温度は28℃。
箱の中に手を入れてみると、手の周りに緑色の薄い層があるのがわかる。
これが、皮膚の周りに出来た空気の層。
体温は36℃ぐらいで、周りの空気の青い所が28℃ぐらい、
緑の空気の層は、厚さ1mmほどで、体温からの温度をもらって、32℃ぐらいになっている。
この状態で、手に風を送って当てる。
すると、手の周りにあった緑の層が一気に吹き飛ばされた。
これにより、手の周りの温度が室温と同じになった。
そして、8秒後には、再び緑のあたたかい空気の層が出来た。
さらに、この空気の層が吹き飛ぶことで涼しくなる、もう1つの理由がある。
人間の体は、体温が高くなると、汗をかいて熱を逃し、体温を調節。
これは、汗が蒸発した時に熱を奪う気化熱を利用した仕組み。
通常、水蒸気は空気に取り込まれる。
しかし、空気が取り込める水分の量には限界がある。
体と周りの空気との間にある空気の層は、汗が蒸発した結果、水蒸気を多く含んでいる。
そのため、それ以上、汗が蒸発しにくくなる。
そこに、風が当たると、水分がもう蒸発しにくいとなってしまった 空気の層が吹き飛び、汗が蒸発し涼しいと感じる。
ちなみに、扇風機を使っても暑い場合は、エアコンを使ったり、行水をするとよい。