サッカーのスローインを両手で投げるのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2022/11/11】

「サッカーのスローインを両手で投げるのはなぜ?」という話がありました。

サッカーでは、ボールが 一度 タッチラインを割ると、

両手を使い、スローインでプレーが再開される。

キーパーは、片手で投げているのに、

なぜスローインは両手なのか?

これについて、日本のサッカージャーナリストの先駆け、後藤健生さんが説明していました。

スローインは、両手でボールを持ち頭の後ろから投げる と決まっている。

ただ、最初にサッカーのルールが出来た19世紀。

そういう決まりは、一切なく、自由に投げていた。

片手で投げても、よかった。

サッカーの起源とされているのは、「モブフットボール」というイングランド発祥のスポーツ。

チームの人数、コートの大きさに決まりはなかった。

街や川で、なんでもありのルールでボールを奪い合う。

今のサッカーとは、全く違う形をしていた。

19世紀頃に入った頃に、上流階級の子どもたちが通う私立学校「パブリックスクール」では、フットボールを授業の一環として教えた。

しかし、授業ならば、ルールなしでやるわけにはいかない。

そこで、ロンドンにあるいくつかのクラブと学校が集まり、新しいルールを作るため会議を開催。

1863年、フットボール協会発足。

グラウンドの大きさや、ボールを持って走ってはならない、など、

ようやく、今のサッカーにもつながる共通のルールが誕生した。

これが、現代のフットボールの始まり。

その当時のスローインは、片手投げ、両手投げ、どんな投げ方をしてもよかった。

では、いつから両手で投げるようになったのか?

そこで、1人のサッカー選手が大きく関係してくる。

それが、ウィリアム・ガン選手。

この選手は、身長が190cm近くあった。

しかも、足が速かった。

イングランド代表で活躍していたが、彼にはもう一つ大きな武器があった。

それが、肩の強さ。

片手で、サッカーボールを50m以上飛ばしたという。

50mがどれほどすごいのか、現役大学生サッカー選手(東京経済大学サッカー部)で検証する。

このグラウンドの大きさは、片面52.5m。

ウィリアム・ガン選手は、ゴール付近までボールを投げられたことになる。

現役大学生は、どれほど投げられるのか?

ディフェンダーで33m、普段から片手でボールを投げているゴールキーパーでも、36.9mだった。

13m以上の差がある結果に、ウィリアム・ガン選手がいかにスゴいかが分かる。

なぜ、彼は肩が強かったのか?

実は、サッカーだけでなく、クリケットの選手でも有名。

クリケットとは、競技人口が約3億人のイングランド発祥のスポーツ。

「ボーラー」と呼ばれる選手が、ワンバウンドでボールを投げ、それを「バッツマン」が打つという野球とルールが似ている競技。

ウィリアム・ガン選手は、野球でいうと、強肩の外野手みたいな選手として、クリケットで活躍していた。

彼は、フットボールとクリケットの2つのスポーツをしていたのか?

当時はフットボールは、冬のスポーツだった。

そして、クリケットが、夏のスポーツ。

だから、1人の選手が、夏はクリケット、冬はフットボールをするというのは、普通のことだった。

こうして、二刀流で活躍していたウィリアム・ガン選手。

ところが、

ウィリアム・ガン選手の遠くに飛びすぎるスローインに、直接ゴールも狙えてしまうことに、クレームが集まり、片手投げが禁止になった。

こうして、1883年、スローインは正式に、両手投げルールになった。

長所を封じられてしまったウィリアム・ガン選手は、その後、サッカーを引退。

クリケットに専念した。

しかし、最近のサッカーでは、両手投げでもとんでもない距離を投げる選手がいる。

その選手とは、元U-23イラン代表のナーデル・モハマディ。

その驚くべき、彼のスローインがこちら。

ハーフウェーライン付近から1回転して、ゴールまで投げる。

大砲のような、ハンドスプリングスロー。

スローインの世界記録は、59.817m だが、

モハマディ選手のスローインは、それを超えているのでは?と話題になっている。