なぜ人はウソをつくようになる?:チコちゃんに叱られる!【2023/01/20】

なぜ人は、ウソをつくようになる?という話がありました。

これについて、子どもの心の発達について研究する、

林創 先生(神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 教授)が説明していました。

人は早くは2歳半〜3歳ごろからウソをつきはじめるようになる。

ただし、最初のウソはシンプルに事実を否定するだけのものになる。

親「ごはんの前だからお菓子食べちゃダメよ」

と、言われたのに、ガマンできずに食べてしまった子どもが、

親「食べちゃったの?」

子ども「食べてない」

と、否定する。といったもの。

これは、主に自分が怒られないためにつくウソだといわれている。

しかし、4歳〜5歳ごろになってくると、

「意図的なウソ」がつけるようになってくる。

例「私ね、実はチコちゃんのお父さんなんですよ」

これでだまされた方はいないと思うが、このように相手に事実とは違うことを信じさせるためにつくのが、意図的なウソ。

心理学の研究で、子どもが意図的にウソをつけるかどうかを試す実験がある。

人形劇で、3匹の動物(キリン・ウサギ・オオカミ)がいる。

ウサギとキリンは、とても仲のよい友だち。

しかし、ウサギはオオカミのことがキライ。

この関係を覚えておいてください。

ある所に、赤い家と青い家がある。

そこへ、ウサギが現れる。

ウサギ「あとで友だちのキリンさんに会いたいんだけど、今オオカミから逃げているの、赤い家に隠れるから、オオカミから守ってね!」

そう言うと、ウサギは赤い家に隠れた。

すると、しばらくしてオオカミが現れ、

オオカミ「ウサギはどこだ?なぁ、ウサギがどこにいるか教えてくれよ!」

と言った。

さて、皆さんはどう答えますか?

実験によると、5歳児以上は、「ウサギは青い家にいる」や「知らない」と答えた。

このように、ウソがつけた。

さらにオオカミが去った後、キリンが現れて同じようにウサギの居場所を聞くと、

今度は、赤い家を指して、「ウサギは赤い家にいる」と本当のことを教えた。

この実験から、相手によって、伝えるべき情報を変えているということがわかる。

オオカミにだけ事実と違うことを伝えているということから、意図的にウソをつくことができたといえる。

一方、4歳児の半数は、キリンにもオオカミにも「ウサギは赤い家にいる」と答えた。

このように、ウソがつけなかった。

この差は、一体なんなのか?

その違いは、自分とオオカミの心の中が別々のものであると知っているか。

自分はウサギが赤い家にいることを知っているが、オオカミはそれを知らない。

5歳以上になると、この違いをハッキリと認識して、だからこそ、「事実とは違うが、自分がこう言えば、相手はこう思うんじゃないか?」という発想が生まれ、ウソをつける。

しかし、幼い子どもは、この違いをうまく意識できないため、オオカミの心の中を考えずに、自分の知っている本当のことを伝えてしまう。

この違いが生まれるのは、主に4歳〜5歳の間に、心の理論が発達するから。

自分と他人の心の中が違うものであり、人はそれぞれの気持ちや考えによって行動するのだと、理解することをいう。

様々な経験をしたり、ことばを覚えていく、主に4歳〜5歳ごろに、この心の理論が大きく発達していくといわれている。

つまり、ウソをつくようになるのは、成長している証し。