なぜ写真に写った自分の顔が気にくわないのか?という話がありました。
写真にうつった自分の顔を気にくわないと思ったことは、ありませんか?
自分の顔なのに、気に食わないと感じてしまうのはなぜか?
これについて、宮本聡介 先生(明治学院大学 心理学部 教授)が説明していました。
写真にうつった自分の顔が気にくわないと思うのは、
それが、あなたの本当の顔だから。
本当の顔というのは、人から見た時のそのままの あなたの顔。
実は、本当の顔と頭の中でイメージしている自分の顔は違う。
自分の顔は、いつもどうやって見ているか?
ふだん私たちは、自分の顔を鏡で見ていることが多い。
だから、私たちがイメージしている自分の顔は、鏡にうつった顔。
鏡にうつった顔は、左右がひっくり返っている。
そして、人間の顔は、左右のバランスが違う。
左右のバランスが全く同じということはない。
顔の右半分と左半分は、私たちが思っている以上に違う。
個人差はあるが、人間の顔は、目や眉の形、ついている場所の違い、輪郭のゆがみなどがあるので、
左右が入れ替わると違った印象の顔になる。
本当の自分の顔とは違う、左右がひっくり返った顔を見慣れている私たちは・・・、
写真にうつった顔はあなたの本当の顔、しかし、自分がイメージしてる顔と違うので、違和感を感じる。
毎日のように見ている鏡にうつった顔は、「単純接触効果」によって親しみを持っている。
単純接触効果とは?
同じものを何度も見ることで、そのものを好きになること。
人間は見たものの情報を脳に送り、脳はそれが何なのか考え理解する。すると、次に見た時には、前にも見たことがあるので、それが何かわかるまでのスピードが速くなる。さらに、繰り返し見ることで、そのスピードはどんどん速くなり、脳は見てすぐにわかることを好きになったと勘違いしてしまう。
この効果によって、毎日鏡にうつる顔に親しみを持ち、写真の顔には親しみを持たない。
だから、「写真にうつった顔が気にくわない」とか、「私は写真うつりが悪い」と感じてしまう。
ちなみに、単純接触効果は他にもある。
同じ広告をあちこちに出すことで、その商品を使ってみたくなる効果をねらっていたり、
営業マンが何度も顔を見せて、好感を持ってもらおうとするなど、ビジネスシーンでも生かされている。