九州や東北などの出身者は、東京に来ると共通語になるイメージがある。
しかし、関西人は、どこでも関西弁をしゃべることが多い。
これは、なぜなのか?
これについて、関西弁を研究している 中井精一 先生(同志社女子大学 日本語日本文学科 教授)が説明していました。
「関西弁」とは、大坂・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・三重で話される方言。
これを、学術的に総称して、「近畿方言」と呼んでいる。
この方言を話す人は、現在、約2000万人以上。
日本で、一番話されている方言。
なぜ、関西人は、どこに行っても関西弁を話すのか?
子どもの頃に、学校で共通語の読み書きは習うが、共通語のアクセントやイントネーションを学んでいないから。
東大阪市立 成和小学校のあるクラスの国語の授業を見学してみると、
生徒は、国語の教科書の内容を声に出して読み、共通語の読み方を学んでいたが、
それを聞いていた先生が、
「はい、ありがとう↑、第3の場面はちょっと特殊やねん、ここで初めてわかることやけど」
と、関西弁を話していた。
授業では、関西弁を使い、共通語のアクセントは教えていなかった。
一体、なぜなのか?
先生によると、
ずっと今までの自分の先生も、関西弁でずっと教えてたというのがあるのかなって思ったりします。
もうし授業を共通語でやろうねとなると、子どもたちが笑って授業にならない。
とのこと。
国が定めた学習指導要領でも、「共通語を用いることが必要な場合を判断しながら話すことができるようにすることが重要」と書いてある。
つまり、共通語を必要に応じて話せるようにする、ということ。
なぜ、このような指導方針になっているのか?
関西には、大坂や京都、神戸などの大都市があり、
昔から、関東には行かず、関西だけで生活する人も多い。
つまり、関西人が、どこでも関西弁をしゃべるのは、共通語を話す必要がないから。
そのため、先生も共通語のアクセントを教えない。
しかし、地元を離れた他の地域の人は、
方言を出すのが恥ずかしい、通じなすぎて何を話しているかわからない、
など、もともと使っていた方言から共通語に変えて話し始めるのに、
関西人は、地元を離れても関西弁のまま。
これは、なぜなのか?
関西人は、自分たちを地方と思ってない。
日本全国の中で、首都圏に次ぐ都会だと思っていて、
他の地域の人たちからも都会だと思われているという自負があるため、
関西弁に誇りを持ち、どこに行っても関西弁で話し続ける。
だから無理に共通語を話す必要がない。
と思っていることが、一番大きい理由。