今まで無料で通れていた道が、急に有料になったと、
とある袋地の所有者が憤っている。
大阪府和泉市にある畑。
ここを所有する男性Aさんは、70年以上、野菜や米作りをしている。
84歳になった今も畑仕事をしている。
ここは、先祖代々受け継がれてきた土地で、男性にとって特別な場所。
所有する畑は、約1000平方メートル。
この場所を地図で見てみると、
市や他の人が所有する土地に囲まれていて、公道に面していない。
こうした土地は、袋地と呼ばれ、畑に行くには、約50mの市の土地を通る必要がある。
民法では、袋地の所有者が、隣接する他人の土地を通る権利が認められている。
同時に、隣接地の所有者は、通行料を求めることもできるが、
和泉市は、約50年間無料で通行することを認めてきた。
ところが、2023年5月、事態は急変。
畑につながる幅2mの土地を最大900万円で買い取りか、
年間最大43万円の通行料を支払うよう、Aさんは市から突然求めらた。
しかし、なぜこれまで無料で通行できていた道が有料化の方針になったのか?
それは、土地の使い道が変わったことにある。
畑周辺の土地は、元々、誰でも使える防災広場として活用する計画だった。
しかし、2023年4月に、所有する土地の一部が、和泉警察署の移転先となり、
残りの土地も売却されるなど、計画が変更。
それに伴い、市は、畑につながる一部の土地を残し、通行料を求めることにした。
さらに、Aさんたちは、
市から買い取りなどを提示されている2m幅の道では、農業用のトラクターは通れず、代々続けてきた畑を諦めざるを得ないという。
市の進め方に納得できないAさんたちは、2023年9月、市は通行を妨害してはならない、などとして、簡易裁判所に調停を申し立てた。
申し立てをしたのは、通行権をめぐる問題だけではない。
それが、「土壌汚染」。
畑の隣の警察署の移転先に、市が運び込んだ土から汚染物質が確認された。
市は、その後、問題の土を撤去したが、
Aさんたちは、自分たちの畑にも異常があるかもしれないと、市に調査するように申し立てている。
しかし、市は畑よりも手前側が基準値をクリアしているので、畑の土の調査は必要なしとしている。
現在も和泉市との話し合いは平行線となっていて、
2023年11月から民事調停が始まる。
ちなみに、Aさんは、現在どうやって通行しているのか?
Aさんたちは、通行料を求められている道にあるゲートを使って、畑に出入りをしている。
このゲートには、現在、ダイヤル式の鍵がかかっていて、Aさんは市からこの鍵の暗証番号を教えられていて、自由に出入りをしている。