止まっているエスカレーターをのぼると変な感じがするのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2023/11/17】

上下に動くエスカレーターが止まった状態で、


ただの階段のように上り下りしたことはないでしょうか?

その止まっているエスカレーターをのぼると変な感じがするのはなぜ?という話がありました。

これについて、脳の情報処理のメカニズムを研究している五味裕章さん(NTTコミュニケーション 科学基礎研究所)が説明していました。

止まっているエスカレーターをのぼると、変な感じがするのは、「考えない脳」があるから。

この現象は、専門的には、「壊れたエスカレーター現象」と呼ばれている。

この現象を引き起こすという「考えない脳」とは何なのか?

身体運動は、大きく言うと2つの脳がコントロールしている。

一つは、意識的に状況を判断するいわゆる「考える脳」。

もう一つは、「歩く」「走る」などの基本的な運動を無意識的にコントロールする「考えない脳」。

例えば、普段、私たちが歩く時、まず、右足と左腕を出して、次に、左足と右腕を出すなどと、いちいち考えることはない。

自転車に乗る時も、両手でハンドルを握り、サドルにまたがり、ペダルに足をかけて踏み出すなどと、いちいち考えてはいない。

これは、考えない脳が、無意識のうちに体をコントロールしているから。

そして、この考えない脳こそが、止まっているエスカレーターをのぼる時の変な感じに深くかかわっている。

考える脳は、エスカレーターが止まっていることを認識する。

そして、踏み込んで歩き始める。

次に、考えない脳は、「これはエスカレーターだから重心を前に倒さなければならないぞ」と体に伝えて体を勝手に動かす。

すると、前につんのめってしまい「おっとっと」となる。

普段、動いているエスカレーターに乗り込む時は、階段の移動に合わせて知らずしらずのうちに、体の重心を前に倒すような動きをしている。

そして、考えない脳は、止まっているエスカレーターでも、動いている時と同じように重心を倒そうとするtので、前につんのめるような感じになる。

さらに、足を下ろす動きについても、考えない脳は、無意識に動く階段の高さを予測するが、

実際は思っている高さに階段が来ないので、足がガクッと空振りしてしまう。

考える脳は止まっていることを知っているにもかかわらず、考えない脳が勝手なことをやるので、

そこに矛盾が生じて、それが違和感を生んでいる。

こちらは、研究用に作られたエスカレーター。

この手すりとステップを隠したエスカレーターをのぼった場合、違和感がない。

要はエスカレーターに見えるか見えないかが、非常に重要。

つまり、考えない脳がエスカレーターだと認識しなければ、変な感じは起きないということになる。