コンクリートがカチカチになるのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2023/12/08】

コンクリートがカチカチになるのはなぜ?という話がありました。


これについて、セメント化学について研究している 坂井悦郎 先生(東京工業大学 名誉教授)が説明していました。

ビルなどの建物や家の基礎、橋、トンネルと、街の至る所で見かけるコンクリートだが、

実は、約9千年前のイスラエルの住居で、似たものが使われていることが分かっている。

約2千年前の古代ローマ時代に建てられたコロッセオや、

カラカラ浴場なども、

材料や製造方法は少し異なるがコンクリートが使われていた。

その後、18世紀後半。

イギリスの産業革命で発明された作り方が、現在まで受け継がれている。

古くから使われているコンクリート。

一体どんな材料で作られているのか?

コンクリートは、セメントに水を混ぜて、砂と砂利を合わせて作られている。

メインの材料のセメント、その主原料はサンゴなど海の生物の死骸が、

積み重なってできた石灰石。

この石灰石に、粘土やガラスの元になっているケイ石、酸化鉄などを加えて、

1450℃で焼いた後、石こうを少し入れて粉状にしたものが、セメント。

コンクリートは、セメントに水、砂、砂利を混ぜて、生コンクリートと呼ばれるドロドロな状態のものを作る。

その生コンクリートを型枠に流し込んで時間が経つと、カチカチのコンクリートになる。

なぜ、ドロドロがカチカチになるのか?

セメントに水を加えると、「水和反応」という化学反応が起きて、「エトリンガイト」という物質が誕生する。

これが、セメントの粒子の周りに誕生して、トゲトゲした形になる。

水を加えた直後のセメントは、細かな粒子が水に流され動き回っている。

しかし、2〜3時間ほど経つと、粒子の周りに徐々にエトリンガイトが誕生。

トゲトゲした形になるため、セメントの粒子は互いに絡み合い、固まっていく。

すると、ここに、もう1つの物質が誕生する。

セメントに水を入れて、数時間経つと、「C-S-H」という非常に小さな結晶ができ始める。

「C-S-H」は、カルシウムやシリカを含むセメントが水に反応して誕生。

セメントの粒子と粒子の隙間をぎっしり埋めて、カチカチになる。

コンクリートはエトリンガイトによって固まって、「C-S-H」によって硬くなると理解するとよい。

つまり、コンクリートがカチカチになるのは、水和反応によってセメントが水に反応し、固まる物質を出すから。

かさを増やすために、一緒に入れた砂や砂利は、セメントに覆われて固まる。

ちなみに、コンクリートは、約28日間で使える硬さになるが、

その後も、コンクリートの中で、化学反応は続くため、1年2年と時間が経つにつれ、強度が増していく。

では、コンクリートは一体どれくらい硬くなるのか?

ある実験が行われた。

超高層マンションやビルの1階の柱にも使われる「超高強度コンクリート」。

この円柱のコンクリート(直径10cm、高さ20cm)に、上から力を加えていく。

軽自動車1台分くらいの1トンぐらいの力では、何も起きない。

次に、トラック1台分くらいの10トンぐらいの力でも、何も起きない。

その後も、20トン、30トン、40トンと力をかけても、何も起きなかった。

そして、ジェット旅客機くらいの100トンを超えるぐらいの力をかけると、ようやく破裂した。

その値は、116トン。

地震が来た時などは、もう少し大きな力が作用して、ひび割れることもあるが、

このように、破裂するように壊れることは、ほぼない。

このように、とても強度があるコンクリートだが、強度以外にも、すごい部分がある。

コンクリートは、固まる前はドロドロの液体なので、型枠に流し込めば、

どんな形でも簡単にデザインできる。