なぜ道路標識の人は帽子をかぶっているのか?:チコちゃんに叱られる!【2023/12/16】

なぜ、道路標識の人は帽子をかぶっているのか?という話がありました。

これについて、街なかで見かける看板などのデザインをしている、

日本サインデザイン協会会長の竹内誠さんが説明していました。

ふだん、我々が生活している道路には、場所を示す「案内標識」や、

注意を示す「警戒標識」、禁止事項を教える「規制標識」など、

たくさんの標識がある。

その中で、「人」がデザインされた標識をよく見ると、みんな帽子をかぶっている。

トイレのマークや非常口の人は、帽子をかぶってないのに、

道路標識の人は帽子をかぶっている。

これは、なぜか?

それは、国際連合道路標識、通称「国連標識」を参考にしたから。

「国連標識」とは、1953年に発行された、ヨーロッパ発の国際的な統一を目指した道路標識。

ヨーロッパは、言葉の違う国々が、たくさん隣り合っている。

そこで、人々がどの国に行っても、標識の意味が分かるようにと、

「形」と「色」と「記号」で表現した道路標識が作られた。

その時に生まれた歩行者専用の標識がこちら。

国連標識(歩行者専用)

よく見ると、日本のものと少し違っている。

日本は、この国連標識を参考に標識を作った。

実は、日本がこの標識を採用したのは、1963年。

翌年、開催される東京オリンピックに向け、新幹線や首都高速道路など、

交通網が整備されると、標識も新たなものを作ることになった。

それまでの日本の標識といえば、図柄ではなく、文字で書かれたものが一般的だった。

しかし、東京オリンピックを開催するにあたり、

日本語が読めない外国の人にも、意味がわかるものがいいと、

国連標識を参考に、現在の標識が誕生した。

つまり、元々の標識のデザインは、ヨーロッパで生まれたので、

この帽子をかぶった人はヨーロッパの人ということになる。

しかし、なぜ帽子をかぶせたのか?

これには、ヨーロッパの印刷文化が関係している。

1700年代、ヨーロッパで印刷技術が発展。

本のページを飾る「飾り模様」や、文章を説明する「挿絵」が登場する。

この時、例えば、ゴルファーを描くなら、ハンチング帽に背広姿など、

特徴を捉えたリアルな絵が好まれた。

このように、ひと目で読者にわからせるために、特徴的なものを強調して、

デザインすることが、重要だった。

こうして描く文化が、標識の帽子につながっていく。

実は、標識が作られた1900年代。

ヨーロッパでは、外出する時にみんな帽子をかぶっていた。

歩行者というのは、外を歩いている人、そして、帽子をかぶっている。

そのため、標識で歩行者を描くならば、帽子をかぶっていないとダメだった。