「パジャマ」ってなに?という話がありました。
これについて、西洋の服飾文化を研究する朝日真 先生(文化服装学院 専任教授)が、説明していました。
パジャマは、もともと、寝る時に着る服のことではなく、
インドや、その周辺の国々で着られていた民族服のズボンのことを指す。
それをヒンディー語で「パジャマ」と呼んでいた。
元々は、「パイジャマ」というペルシャ語から来たもので、「脚の服」という意味。
パジャマは、現在でも、インド人などは着ていて、
ふだん着から冠婚葬祭まで、幅広く活用されている。
一体なぜ、インドのパジャマが、世界で寝巻きになったのか?
1880年代、インドに駐留していたイギリス人が、パジャマを着てみたところ、
「寝る時に楽だ」ということで広まった。
当時、ヨーロッパにも、男女兼用のワンピース型の寝巻きがあったが、
使っていたのは主に上流階級の人々。
庶民には、まだ、昼夜で服を着替える習慣が定着せず、多くが下着や裸で寝ていた。
そんな状況の中で、イギリス人がインドから持ち帰ったパジャマが、人々の間に広まった。
その後、パジャマは、ゆったりとして動きやすい上下セットの形が主流となり、
主に男性用の寝巻きとして、イギリスからアメリカを通して、世界へと広がっていった。
そして、1920年代に、女性のパンツスタイルの登場とともに、女性もパジャマを着るようになっていく。
さらに、1934年には、アメリカ映画「或る夜の出来事」で、女性が男性用パジャマを着たシーンが話題となり、
より多くの人にパジャマが広がっていった。
日本でのパジャマの普及は戦後。
それまでは、多くの人が、浴衣を寝巻きにしていたが、
修学旅行や家族以外との旅行のために、
よそ行きの寝巻きとして、パジャマを着る人が増えていった。
さらに、パジャマ人気に拍車をかけたのが、1980年代後半のトレンディードラマ。
友人同士で風呂上がりにパジャマを着て、おしゃべりをする生活スタイルに、憧れる女性が続出したという。
しかし、そんなパジャマ人気も、長くは続かなかった。
1980年代、ジャージやスウェットなどの、スポーツカジュアルが登場し、寝巻きにする人が増加。
実は、下着メーカーが実施したアンケートでも、「パジャマを着て寝ている」と答えた人の割合は、
夏場で、全体の約3割、冬場でも、4割にとどまっている。
ちなみに・・・、
パジャマが上下セットな理由は、定かではないが、
もともと、ヨーロッパにあったワンピース型の寝巻の下に、
インドのパジャマを履いたところ、長い裾である必要がなくなり、今の上下のパジャマの形が出来たのかもしれないという。