なぜ、ささいなことで好きな気持ちが冷めるのか?という話がありました。
好意を持っている相手なのに、ちょっとした行動が気になって気持ちが冷めることがある。
これについて、社会心理学を研究している、脇本忍 先生(大和大学 社会学部 准教授)が説明していました。
2023年、この現象は「蛙化現象」という言葉で、若者の間で流行。
これは、人間が生き延びるために必要な現象が、2つ起きている。
1つ目は「確証バイアス」。
これは、願望や思い込みを強化する現象。
例えば、「あの人は、かっこいいから、きっとオシャレだ。」
しかし、男前だからといって、オシャレに興味があるとは限らない。
「後輩に、よくおごっているから、お金に余裕がある。」
しかし、見栄っ張りなだけで、毎月カツカツかもしれない。
なぜ、人は都合いいように思い込むのか?
それは、人間が原始時代に身につけた本能。
例えば、獲物が目の前にいたとする。
このとき、「1人では、しとめられない」など、都合の悪い思い込みをしていたら、
他の人に取られてしまい、生き残れなくなってしまう。
そうならないために、「絶対に1人でしとめられる」という、自分に都合のいい思い込みをすることで、
生き延びられる確率が増える。
その結果、現代人は恋愛でも、「あの人は、いい人に違いない」という確証バイアスが、本能的に働くようになった。
そして、2つ目は、「ネガティビティバイアス」。
これは、人間が生き延びるために必要な現象。
ポジティブな情報よりも、ネガティブな情報を重要視する現象。
例えば、おいしいキノコと毒キノコ。
生きるために知っておくのは、もちろん「毒キノコ」。
太古の人類は、常に自然の驚異にさらされていた。
そのような中で、生き残っていくためには、危険に対して敏感になり、
失敗体験を強く記憶する能力が、必要不可欠だった。
つまり、好きな相手とデートや、おつきあいをするようになると、
「この人と結婚して大丈夫なのか?」と不安になり、ささいなことでも見過ごせない。
つまり、ささいなことで、好きな気持ちが冷めるのは、
「確証バイアス」で、相手を都合のいいように思い込み、
「ネガティビティバイアス」で、マイナスな部分を探し出すことで起こる「ギャップ」が原因。
欲しいものは手に入れたいが、リスクは避けたいという、生きるために身につけた野生の本能。
そして、気持ちが冷めるささいなことは、人それぞれ。
・クールでかっこいい片思い中の彼が、帰り道で、自転車のギアを1にしてこいでいた。
(→足がとても速く回り、顔も必死な感じで、好きではなくなった、ギア3がいい)。
この場合、確証バイアスは「男性=力強い」、なのに、体の負担が少ないギア1段を選択して、足が高速回転。
その必死さと、こぐ姿がダサく、気持ちが冷めてしまった。
・年上の男性と食事に行った時、「俺がオゴるからいっぱい食べて」と言っておきながら、お会計で、20円引きのクーポンを出した。
(→20円だけ割引するんだ、払ってくれるなら余裕があってほしい)
この場合、確証バイアスは「年上=余裕がある男」、なのに、20円すら得したい小さい男だと捉えて、気持ちが冷めてしまった。
・交際間近だった男性と「そろそろ寝るね、おやすみ」とメッセージのやりとりをしていたら、
Good night baby sweet dreams(おやすみベイビー!いい夢を見よう)と送られてきた。
(→見た瞬間の困惑からの「なんで、それを送ってきたんだろう?」みたいな疑問から、何を考えているかわからないという心の壁を感じるようになった)
この場合、確証バイアスは「その男性=誠実で真面目な男性」、なのに、英語を使えばかっこいいという安易な考えの持ち主で、そのセンスとまぬけさがダサいと感じ、気持ちが冷めてしまった。