「とことん」ってなに?:チコちゃんに叱られる!【2024/06/21】

「とことん」ってなに?という話がありました。

これについて、日本語の歴史に詳しい、今野真二 先生(清泉女子大学 日本語日本文学科 教授)が説明していました。

「とことんやる」の「とことん」は、「最後の最後・徹底的に」という意味。

これは、足拍子のこと。

足拍子は、日本舞踊の踊り方の1つで、舞台を足で踏み鳴らすこと。

「トン、トン、トン」という音。

3回連続で足を踏む時、「トン、トン、トン」のリズムを言葉では、「ト、コ、トン」と、表現するようになった。

「とことん」っていう言葉は、江戸時代ごろになると、

日本舞踊以外でも使われていた。

当時は、特別な意味を持たない「はやしことば」になっていた。

「はやしことば」とは、歌や踊りの合間に入れることば。

有名なものでは「ソーランソーラン」や、「エッサエッサ」のように、

意味はないが、全体を活気づける役割がある。

江戸時代の後期に書かれた小説「東海道中膝栗毛」には、

旅での宴会のシーンで、

トントントコトン はやしたてて くれっしゃい
(=トコトントコトンと、はやしことばを入れてください)

という記述がある。

この時期には「トコトン」が、はやしことばとして、

庶民の間で使われていたことが分かる。

はやしことばだから、特別な意味はない。

では「とことん」が、今の意味になったのは、いつからなのか?

実は、ある歌が大流行したことがキッカケ。

明治元年に作られた「トコトンヤレ節」。

「トコトンヤレ節」は、日本初の軍歌と言われる歌。

その中で、「トコトンヤレ トンヤレナ」とある。

新政府軍を鼓舞する内容の歌詞やタイトルに、「トコトン」ということばが使われていた。

この歌詞の中で、やはり「トコトン」は、

「ヤレ」の部分も含めて、はやしことばと使われていて、

他の歌詞と比べても、特に意味はない。

なぜ、大流行すると意味が変わるのか?

結局、たくさんの人が曲を聴き、意味を勝手に解釈していく。

ただのはやしことばだった「トコトンヤレ」の「ヤレ」が、

徹底的に「やれ」と伝わり、更に、

歌詞の1〜6番のすべて締めくくりが「トコトンヤレトンヤレナ」とあることから、


「最後の最後まで」という解釈が加わり、現在の意味として、広がっていった。