なぜガスコンロの炎は青い?という話がありました。
これについて、火の仕組みに詳しい 川村康文 先生(東京理科大学 理学部 物理学科 教授)が説明していました。
身近にある炎といえば、ロウソクの炎や、キャンプファイアなどだが、その色は、赤やオレンジ。
一方、料理で使うガスコンロの炎は、青色。
この違いは、完全燃焼しているかどうか。
ロウソクの火は、燃えているように見えるが、不完全燃焼。
つまり、完全には燃えていない。
これは、一体どういうことか?
そもそも、炎というのは、可燃性の物質が空気中の酸素と結び付き、化学反応を起こすことで発生する。
ロウソクの場合は、炭素と水素からできている混合物「ロウ」が燃料で、
周りにある酸素と化学反応を起こして燃えている。
ロウソクは、酸素が足りないので、燃料が燃えきらない状態。
炎は、外側の部分が酸素に触れているので、よく燃えているが、
内側に入ると、周りのほうが酸素を使ってしまうので内側まで届かない。
燃料を完全に燃やすことができなくなり、不完全燃焼の状態となり、赤く見える。
ロウソクの炎だけでなく、たき火や、山火事などの炎も、不完全燃燒。
一方、ガスコンロの場合は、あらかじめ、燃料と酸素を混ぜて燃やしているので、青い炎。
ガスコンロの燃料は、一般的に炭素と水素からなる化合物「メタン」。
メタンは、ガス会社から各家庭に供給されているが、
コンロには酸素を取り込む空気孔があり、メタンと酸素を混ぜて、着火する場所へと送られる。
その状態で着火すると、炎の内側では、メタンと酸素が混ざり合っており、炎の外側にも、周りに酸素があるので、完全燃焼できる。
では、なぜ、不完全燃焼は「赤」、完全燃焼は「青」に見えるのか?
それは、炎が、温度によって色が違って見える性質があるから。
ロウソクは、不完全燃焼してるような部分があるので温度が低い。
ロウソクの温度は、空気が足りていない内側は、約300°C。
外側は、酸素と触れているため高く約1,400°C。
一方、ガスコンロは、ロウソクより400°C高い約1,800°C。
温度が低い間は赤色、
温度が上がってくるとだんだん黄色になり、
さらに温度が上がると、青くなる。
温度によって色の見え方が違うのは、光の波長が関係している。
光の波長は、熱のエネルギーが小さいほど、長くなり赤く見え、
熱のエネルギーが大きいほど短くなり、青く見える性質がある。
そのため、エネルギーが小さい不完全燃焼の炎は、波長が長いので「赤」。
エネルギーが大きい完全燃焼の炎は、波長が短いので「青」に見える。
では、赤く見える太陽も不完全燃焼なのか?
これについて、日本天文学会の会長も務める、井田茂 先生(東京工業大学 地球生命研究所 教授)が説明していました。
太陽では、酸素が化学反応を起こしているわけではなく、
「核融合」という現象が起きていて、それで発熱している。
太陽の表面温度は、約5,500°C。
炎などの化学反応で見える色と、太陽みたいな星が出す色は、少し違う。
しかし、恒星でも、高温な星ほど青く見えるというのは、変わらない。
例えば、オリオン座の近くに見えるシリウス星は、青白く見えるが、表面の温度は約9,700°Cと非常に高温。
オリオン座のベテルギウス星は、赤く見えるが、表面温度は約3,300°C。
ちなみに・・・、
宇宙空間から見ると、太陽の光は、単一の色だけでなく、さまざまな色の光が混ざって、白に近いクリーム色に見えている。
地球では、夕方になると、太陽が西の空に落ちてくるため、光が地球の大気を斜めに通り抜ける。
この時、青い光は大気中の粒子に散乱されやすく、赤い光は散乱しにくいため、夕方の太陽は赤く見える。