「叙述トリック」ってなに?

ミステリー小説などで、よく耳にする「叙述トリック」とは何か?

読者の先入観を利用し、巧みな仕掛けを用いてミスリードへと導いていく小説技法のこと。 このテクニックは、物語の中で意外性や興味深さを提供するために使われる。

具体的な例がこちら。

朝、鏡を見ながら歯を磨く。探偵は突然の頭痛に、思わずこめかみを抑える。「昨日の酒か」小さく呟く。30を超えたあたりから、あれだけ強かった酒も翌日まで残るようになってしまった。スマホを一瞥し、溜息をつく。誰からも連絡はない。自室に戻り、来ることのない客を待ちながら、日課の腹筋を始める。

この文章を読むと、大体の人は男性の探偵を想像するでしょう。しかし、実はこの探偵は女性。著者は「探偵・酒・腹筋」という単語を使用して、読者に「探偵が男性である」と誘導している。このように、著者から読者へ仕掛けるトリックが「叙述トリック」。

叙述トリックにはさまざまな種類がある。例えば、時間軸を利用したものや名前を活用したもの、視点の入れ替えなどがある。ただし、映像化が難しいため、ミステリを読まない一般層には普及しづらいという難点がある。